生物多様性と関係価値について|2015年度慶應義塾法学部大学入試小論文解答例です。
以上の文章を踏まえて、人間社会における「関係価値」について具体例をあげながら800字程度で論じなさい。(2015年度慶應義塾法学部:改題)
生物多様性と関係価値についての論述
本文では生物多様性を例に関係価値の重要性を述べている。生物多様性は二つの考え方の対立が問題となっている。1つは生物多様性を保全するための考え方で、2つは生物多様性の利用を目的とする考え方である。しかし、生物多様性の保全は地域社会が大きな役割を担っており、その地域社会を支える私たちが、関係価値という相互の繋がりに価値を見出す考え方を見つける必要があると筆者は述べている。
では、筆者が述べるように、本当に関係価値を重視するべきか。私は重視するべきだと考える。なぜなら、相互の繋がりから生まれる価値は決してお金を払うことで手に入らないものだが、非常に価値のあるものだと考えるからだ。
何らかの商品を売買する際に関係価値を無視し、目先の利益や商品の質を求める交換価値や使用価値だけを追い求めるとする。そうすると、瞬発的な利益やメリットは得ることができるかもしれない。
しかし、長期的な目線で考えたときに、売る人と買う人との繋がりを重視することで、安定した需要を確保することができたり、より綿密な価格設定をすることができる。さらに、買い手とのコミュニケーションを売り手が大切にすることで、消費者が商品の良さや欠点を指摘しやすい環境が生まれ、より良い商品作りに生かすことができる。
では、消費者からの信頼をどのように勝ち取れば良いだろうか。そう簡単に手に入るもんではないが、社会や消費者に対して丁寧な対応を行ったり、消費者とのコミュニケーションを長い間怠らないことで初めて得ることができるだろう。また、SDGsなどの目標を踏まえ、企業が地域社会や社会全体に対して、社会貢献をすることで得ることも期待できる。
このように、相互の信頼のもとで生まれる関係価値を重視することで、瞬発的な利益を求める方法よりも多くのメリットを得ることができる。したがって、私は関係価値を重視するべきだと考える。
生物多様性と関係価値についての講評
総合的に、論文は高い水準でまとめられており、関係価値に対する理解が深いです。内容は明確で理解しやすく、関係価値に対する理解が鮮明に表現されています。また、関係価値についての洞察があり、具体例を交えながら論理的にまとめられています。
【改善点】
例の具体性と多様性:生物多様性の例に続いて、他の分野や業界においても関係価値がどのように機能するかについての具体例を追加すると、論文がより充実します。
論理構造と結論:論文の流れは良く構築されていますが、結論をしっかりまとめましょう。
引用と裏付け:提案や主張に対して追加のデータや専門家の意見を引用すると、より信頼性が増します。
【採点】
全体の質;78点
○関係価値の重要性が良く説明されています。
×他の分野や業界における例を追加するとより豊かになります。
構造と論理性:75点
△論文の流れは良いが、結論がもう少し強調されるとよい。
文体と表現:90点
○文章は明確で読みやすい。
○専門用語や専門的な表現の適切な使用。
文法:20点
×以下、修正点参照。
生物多様性と関係価値についての論述の修正点
【➊並列表現に気をつける】
✕(原文)安定した需要を確保することができたり、より綿密な価格設定をすることができる。
〇(修正)安定した需要を確保することができたり、より綿密な価格設定をしたりすることができる。
〇(修正)安定した需要の確保やより綿密な価格設定をすることができる。
✕(原文)丁寧な対応を行ったり、消費者とのコミュニケーションを長い間怠らないことで
〇(修正)丁寧な対応を行ったり、消費者とのコミュニケーションを長い間怠らないことだったりして
〇(修正)丁寧な対応や消費者との良好なコミュニケーション
➨並列表現に気をつけよう。
【➋話し言葉使わない】
✕(原文)そう簡単に手に入るもんではないが、
〇(修正)簡単に手に入らないが
➨話し言葉は、使用しない。「 」をつけた会話やフレーズはその限りではない。
【合格者の解答例】
特に、具体例に注目してください。1つ目は、日頃から社会で起こっていることに対して、アンテナを張っていることがわかり、好印象です。2つ目は、自らの体験を記述することで、人柄もアピールできています。このように、具体例では、実はその人がどういうことに関心を持ち、行動をしているかをチェックできます。
(略)
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