【高校政治経済】学習内容の要点をまとめ|大学入試・テスト対策

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【高校政治経済】学習内容の要点をまとめです。大学入試やテスト対策にご利用ください。

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学習内容の要点をまとめ(高校政治経済)

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日本国憲法のポイント

日本国憲法3つの原則
日本国憲法は、大日本帝国憲法の改正という形をとったが、内容的には大日本帝国憲法とはまったく異なる原則が盛り込まれた新しい憲法である。

  • 国民主権
  • 基本的人権の尊重
  • 平和主義

の3つを基本原則としている。民主主義の原理を取り入れたなかで、とくに徹底した平和主義を規定した憲法前文や第9条を持つことから、日本国憲法は平和憲法ともよばれている。日本国憲法は、前文と11章103の条文で構成されている。前文には、日本国憲法の基本的な理念が示され憲法解釈の際の基準とされる。

国民主権

日本国憲法前文は「主権が国民に存する」ことを宣言した上で、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」としている。

象徴天皇

天皇に認められているのは、

  • 国会の指名に基づく内閣総理大臣
  • 内閣の指名に基づく最高裁判所の長を任命すること(6条)
  • 内閣の助言と承認によっておこなう

10項目の「国事行為」(7条)のみである。

国事行為

  1. 国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する。
  2. 内閣の指名に基づいて、最高裁判所長官を任命する。
  3. 憲法改正、法律、政令、条約を公布する。
  4. 国会を召集する。
  5. 衆議院を解散する。
  6. 国会議員の総選挙の施行を公示する。
  7. 国務大臣、法律の定める公務員の任免や全権委任状大使・公使の信任状を認証する。
  8. 文化勲章などの栄典の授与を行う。
  9. その他外交使節の接受や恩赦の認証批准書や外交文書の認証、儀式を行う。
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日本国憲法の制定

1945(昭和20)年8月、日本政府はポツダム宣言を受諾して、連合国に降伏した。

日本は占領され、その占領行政を担当した連合国軍総司令部(GHQ)の最高司令官となったマッカーサーは、1945年10月、アメリカ合衆国の対日方針にそって明治憲法を改正する必要性を幣原喜重郎首相に示唆した。GHQは改正案を拒否した上で、マッカーサー三原則に基づいたマッカーサー草案を提示し、それを原型とする日本政府案がまとめられた。

マッカーサー草案

マッカーサー草案は、天皇は国家の元首(the head of the State)であること、戦争の放棄・非武装・交戦権の否認。封建的諸制度の廃止を内容とするもので、これをもとにGHQ民政局に憲法草案の作成を指示した。

一方、民間でも高野岩三郎・鈴木安蔵・森戸辰男らの学者・知識人が中心となって発足した憲法研究会が憲法改正案を発表し、それがマッカーサー草案にも影響を与えたといわれている。

  • 1946(昭和21)年4月…男女普通選挙制による初めての総選挙が実施
  • 1946年6月…その選出議員で構成された帝国議会に日本政府の憲法改正案が提出

明治憲法下における天皇の最高諮問機関である枢密院の諮問を経て両議院で審議され、いくつか修正が加えられたのち、圧倒的多数の賛成で10月に可決され、

  • 1946年11月3日…日本国憲法として公布
  • 1947年5月3目…施行

現在にいたっている。

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大日本帝国憲法

日本最初の近代憲法は、1889(明治22)年に制定された大日本帝国憲法(明治憲法)である。天皇を中心とする中央集権国家の樹立をめざしていた明治政府が、君主権力の強い当時のプロイセン憲法を参考にして制定した欽定憲法である。

大日本帝国憲法の特徴

  1. 明治憲法の特徴としては、天皇主権があげられる。これは国の政治のあり方を決める最終的な力である主権を、天皇が持つということである。
  2. 議会は帝国議会とされ、選挙で選ばれた議員からなる衆議院と選挙によらず華族や天皇が任命する議員からなる貴族院の二院で構成された。

日本国憲法との比較

大日本帝国憲法憲法日本国憲法
1889年発布、1890年施行成立1946年公布、1947年施行
欽定性格民定
天皇主権者国民
神聖不可侵天皇象徴天皇
法律の範囲内で自由や権利を認める国民の権利基本的人権は不可侵・永久
天皇の協賛機関国会国権の最高機関、唯一の立法機関
天王を助けて政治を行う内閣議院内閣制
天皇の名において裁判裁判所違憲立法審査権がある
法律によって制限できる基本的人権最大限に尊重、男女平等
兵役の義務あり、天皇の統帥権軍隊兵役の義務なし、戦争放棄

帝国議会

帝国議会は天皇の協賛(協力)機関とされ 内閣は天皇の輔弼(補佐)機関で、裁判はすべて「天皇ノ名ニ於テ」おこなうとされた。すべての国家機関は、天皇の統治権のもとに位置づけられた。

統帥権

天皇には、陸海軍を指揮・統率する統帥権、緊急勅令, 独立命令などの広範な天皇大権が認められていた。これらのうち、統帥権には議会や内閣は関与できず(統帥権の独立)。のちに政党政治を弱体化させるとともに、軍部の発言力を増大させる根拠となった。

国民の権利

国民の権利は、「臣民」の権利として、「法律ノ範囲内」で、天皇から恩恵的・制限的に認められた「法律の留保」という条件付きのもので、永久・不可侵の権利としての基本的人権とは原理 的に異なるものであった。 大正時代に入ると、明治憲法のもとでも国民の政治参加は少しずつ拡大した。

第一次世界大戦後は、世界的に民主主義を求める運動が高揚し、日本でも民本主義や天皇機関説などが主張され、その結果、政党内閣による政治が「憲政の常道」とされるようになった。

普通選挙法

大正デモクラシーといわれる時期に、成年男性(満25歳以上) による普通選挙法が成立し(1925年)、それまでの選挙権・被選挙権を財産や納税額などで制限する制限選挙制度が撤廃された。そして選挙権は拡大し、民主主義の一定の進展をみた。

その一方で、同年に治安維持法が公布された。この法律は思想・結社を取り締まる典型的な法で、政府は共産主義思想の波及と労働者階級の政治的影響の増大に備えるために、普通選挙法の施行とともに成立させたのである。

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平和主義

日本国憲法は、他国の憲法にはみられない徹底した平和主義の原則を持っている。第二次世界大戦では、日本国民に多くの犠牲者が出たのみならず、近隣諸国にも多大な損害を与えた。こうしたことへの反省に立って、二度戦争をくり返してはならないとする決意。

日本国民は「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する」ことによって、国際社会における「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と規定した。

戦争放棄

侵略戦争を放棄した憲法は、フランス(1946年)やイタリア(1947年) にみられるが、戦力まで放棄した憲法は主要国において他に例をみない。なお、1949年に制定されたコスタリカ憲法の第12条は、「常設の制度としての軍隊は、これを廃止する」としている。

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基本的人権の尊重とは

基本的人権一覧憲法97条に

  • 憲法上の基本的人権は、人類の長い歴史のなかで確立されてきたものであること
  • 人類にとって大切なもので永久不可侵であることと

が示されている。

日本国憲法における最も基本的な原則

日本国憲法における最も基本的な原則が、基本的人権の尊重という考え方である。人間であれば当然に持っている権利としての基本的人権利は、個々の人間が尊厳ある存在であるという前提の上に立っている。

個人の尊重

個人の尊重という考え方から導かれる権利として、自己決定権がある。これは、一定の私的事項について他者の権力的な干渉や介入を受けずに、みずから決定できる権利である。

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日本国憲法の中の平等権

平等権・平等に生きる権利についてまとめています。個人が尊重される前提として、人間の平等な関係が必要となってきますが、身分や性、人種などによる差別のない社会に生きる権利を平等権という。

平等権の位置づけ図

現実には、さまざまな社会的不平等が存在しており、その解決が望まれている。

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社会的不平等

  • 女性差別
  • 部落差別
  • 民族問題
  • 在日問題
  • 障害者差別
  • 高齢者差別

などが残されている。

女性差別

1997年に改正された男女雇用機会均等法で、セクハラ防止について事業主に配慮義務を負わせた。また、法的な改善だけでなく、偏ったジェンダー 意識(歴史的・社会的・文化的につくられた性別観念)に基づく性別役割をどのように解消していくかも問われている。

部落差別

部落差別では、江戸時代に「えた・非人」などとよばれた人びとの身分が固定されていた。これは封建社会の身分制度に端を発する社会的差別である。明治時代に入り、1871年の太政官布告(解放令)で身分は平民と同様にされたが、差別は社会的に改善されず、全国水平社が結成(1922年)されて、差別される側の人びとみずからの解放運動がはじまった。

部落差別の問題は同和問題ともよばれ、1960年代から同和対策審議会答申に基づいた行政側からの取り組みも進められたが、就職や結婚などにおける差別的な事件が現在でも発生している。

民族問題

アイヌ民族は、明治政府が制定した「北海道旧土人保護法」 (1899年)によって同化政策を受けてきた。

1997年にアイヌ民族の自立、人権擁護などを目的に「アイヌ文化振興法」が成立し、アイヌ民族が固有の民族として法的に位置づけられた。同時に「北海道旧土人保護法」 は廃止されたが、「アイヌ文化振興法」には、アイヌ民族自身が求めている「先住権」など民族の権利にかかわる項目は盛り込まれておらず、まだ課題を残している。

在日問題

在日外国人に対する人権侵害が指摘されていた指紋押捺制度は、1999年に全面廃止。

公務員の要件とされてきた日本国籍を必要とするという国籍条項に関しても、現在では多くの地方自治体において条件つきで撤廃されつつある。

その他の問題

このほかにも、障害者差別・高齢者差別など、さまざまな差別問題が現代の日本社会に存在しているため、私たち一人ひとりが、人権意識を向上させることによって、差別を許さない社会を実現することが大切。

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自由権とは

自由権とは、個人が国家権力の不当な干渉を受けることなく自由に生きる権利のことで、日本国憲法が保障する自由権は、

  • 人身(身体)の自由
  • 精神の自由
  • 経済活動の自由

の3つに大別にされる。

人身(身体)の自由

人身(身体)の自由は、国家権力によって不当に身体の自由を奪われない権利のことである。明治憲法の下で、国家権力によって不当な逮捕や投獄拷問などの人権侵害がしばしばおこったこともあり、日本国憲法では人身の自由について細かく規定している。

刑罰

「法律の定める手続」なしに、生命や自由を奪うなどの刑罰は科を処罰するためには、あらかじめ法律によって犯罪と刑罰とが規定されている必要があるという罪刑法定主義の原則による。31条の規定が罪刑法定主義の憲法上の根拠。

冤罪

現実に、今なお冤罪事件はなくならず、再審制度によって死刑を免れ、無罪になった例も珍しくない。犯罪容疑者や刑事被告人の人権に関して、いっそうの配慮が必要であろう。

死刑

究極の刑罰として、死刑制度の問題がある。国際的に死刑は残虐な刑罰とされるなか、1989年の国連総会で死刑廃止条約が採択され、死刑制度を廃止する国が80カ国を超えたが、日本はこれに反対した。

なお、日本では日本国憲法は残虐な刑罰を禁止(36条)していること、無実の人を処刑してしまう危険性があること、国家による合法的殺人は論理的に矛盾すること死刑制度によって必ずしも凶悪犯罪はなくならないことなどの理由から、死刑制度に反対する人びともいる。

精神の自由

精神の自由は自明のことのように考えられているが、これについては第二次世界大戦前に個人の内面の思想までも統制されたことに対する反省がある。

思想・良心の自由

「思想・良心の自由」(19条)は、精神の自由に関して中心となる規定

信教の自由

政治と宗教を分離(政教分離)している。政教分離に関して争われた裁判には、津地鎮祭訴訟や愛媛玉串料訴訟がある。

表現の自由は、場合によっては他人の権利とぶつかることもあるため、必要最小限度の制約を受けることもある。そのなかで、憲法は表現の自由を制限する検閲を禁止し、通信の秘密を保障(21条2)している。

経済活動の自由

経済活動の自由は、近代憲法のなかで、財産権の保障を中心に規定されてきた。資本主義経済が発展してきたのも、経済活動の自由を前提としている。現実に、独占禁止法・土地収用法・農地法・都市計画法などの法律に基づいて、さまざまな規制がおこなわれている。

公共のために、国民の土地を収用するような場合には、正当な補償をおこなうことが前提。
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社会権

基本的人権の内容は、18世紀までは国民が国家による不当な支配から解放され、自由をめざす自由権が中心であった。このころの国家は、個人の権利に干渉すべきではないとされ、おもに治安の維持や国防などを任務とする夜警国家が理想とされた。

  • 夜警国家…政府の役割を国防や治安の維持など必要最小限なものとする国家

資本主義経済の発達とともに貧富の差が拡大してきたことから、20世紀に入ると、国民が国家に対して人間らしい生活を要求する社会権(社会権的基本権)の必要性が主張されるようになった。このため、現代では治安の維持や国防だけでなく、社会的弱者の救済や医療・福祉・教育の充実を任務とする。福祉国家がめざされている。

生存権

生存権が規定され、生活保護法や健康保険法、さらに介護保険法など各種法律が制定・施行されている。

労働基本権

資本主義社会においては、労働者は使用者にくらべると弱い立場にある。そこで日本国憲法では、労働者が人間らしい生活ができるように労働者の権利を保障している。

憲法が定める労働基本権は、勤労権(27条1項)労働三権(28条)からなっている。

労働三権

労働三権とは、労働者がその立場を強化するために、

  • 労働組合を結成する権利(団結権)
  • 労働組合が使用者と労働条件について交渉する権利(団体交渉権)
  • ストライキなどの団体行動をおこなう権利(団体行動権または争議権)

の三つをいう。こうした労働者の権利を具体的に保護するためのおもな法律として、労働基準法・労働組合法・労働関係調整法があり、労働三法とよばれている。

教育を受ける権利

人間らしい生活をするには、知識や技能を身につけることが必要不可欠である。教育基本法や学校教育法などの法律によって教育の機会均等が保障され、さらに保護者にはその保護する子どもに教育を受けさせる義務を負わせている。

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参政権

日本国憲法は、人権保障を確実なものするために、国民が国政にさかできる参政権や国に一定の行為を請求できる国務請求権(受益権)を保障しています。そのあたりについてまとめています。
参政権の位置づけ図
国民が政治に参加する権利が、参政権である。日本では、1925年に男性のみの普通選挙が導入され、戦後の1945年には男女の普通選挙が導入された。普通選挙によって、政治的な平等を確保することができたといえる。

日本国憲法における参政権は、選挙権・被選挙権のみであると考えられがちですが、直接国民が国家の政治に参加できる制度も存在する。

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国務請求権

基本的人権が現実に守られるためには、国や地方公共団体に人権を実現させるための権利、すなわち請求権が必要である。

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基本的人権についてのまとめ

  • 基本的人権…侵すことのできない永久の権利。
  • 人権の保障…一人ひとりの個性を尊重し人間らしくあつかう「個人の尊重」の原理(憲法第13条)に基づく。法の下の平等(憲法第14条1項)とも結びつく。
  • 子ども(児童)の権利条約…1989年国際連合で採択。生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利。

人権

「個人の尊重」の原理(憲法第13条)法の下の平等(憲法第14条)が基礎。

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新しい人権

新しい人権の位置づけ図
20世紀に入って、時代の要請から社会権が登場してきたことからもわかるように、社会の変化によって人権保障の内容も多様化。日本でも、日本国憲法の制定以降、急激な高度経済成長にともなって発生した公害問題や、情報化社会の到来にともなう諸問題が生じたことにより、憲法上に明文規定がない新しい人権が主張されている。

新しい人権として、

  • 環境権
  • プライバシーの権利
  • 知る権利

が知られている。

環境権

日本では、高度経済成長を中心とする時期(1955年から1973年)に、水や大気、土壌の汚染が進んで公害が発生。

また自動車・ 鉄道・航空機などの発達が騒音や振動をひき起こし、生活環境の悪化が進んだ。公害反対の世論と住民運動が高まるなか、1967年に公害対策基本法を制定した。

四大公害裁判

1960年代後半におこされた四大公害裁判では、いずれも原告である住民側が勝訴し、損害賠償請求が認められた。

人間が公害のない良い環境を享受し、人間らしい生活を営む権利としての環境権が、幸福追求権(13条)生存権(25条)を根拠に主張されるようになった。

環境アセスメント(環境影響評価)法

国は、1993年にそれまでの公害対策基本法自然環境保全法を見直し、新たに日本の環境政策の基本的方向を示すものとして環境基本法を成立させた。

また、1997年には環境問題に対する住民参加の拡大や生態系への事前の評価を盛り込んだ環境アセスメント(環境影響評価)法を制定して、環境問題への取り組みを積極的に進めている。

プライバシーの権利

現代のようにコンピュータが発達した情報化社会ではプライバシーの権利が保障されることが大切である。私たちは平穏に生活できないからである。この新しい人権は、幸福追求権(13条)を根拠に主張されている。

個人情報保護法

個人情報については、地方公共団体のプライバシー保護条例に続いて、1988年に行政機関が保有するコンピュータ処理にかかわる個人情報保護法を制定。

1999年の改正住民基本台帳法によって、住民票をコンピュータ管理する住民基本台帳ネットワークがつくられて、2002年に実施され、2003年には民間の情報も含む個人情報保護法が新たに制定された(2005年施行)。

知る権利

国や地方公共団体はさまざまな情報を持ち、また管理している。それらの情報のなかには、国や地方公共団体がどのような活動をしているかなど、国民にとって重要な情報も少なくない。そこで、それらの情報を国民に公開させる権利として、知る権利が主張されるようになってきた。この権利を保障するものとして、1980年代から国に先駆けて地方公共団体の多くが情報公開条例を制定。

情報公開法

情報公開の要求が強まり、1999年には情報公開法が制定され、2001年4月より施行された。しかし、その内容には特殊法人の扱いが検討課題として残されるなど、国民の知る権利を必ずしも十分に保障したものとはいえない。

広い意味での知る権利に含まれるものに、アクセス権がある。これは、新聞や放送などのマス・メディアに対して、一般市民が自己の意見を反映させることができる権利のことで、マス・メディアによる公平な情報が確保できる。

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世界の政治制度

世界の政治制度のしくみ図

(例)イギリスの政治制度とは?

イギリスの政治制度の特徴として

  • 立憲君主制…国王を元首としながら議会で制定された法に基づいて政治がおこなわれる
  • 不文憲法議院内閣制…成文憲法のない

などがあげられる。

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ルソー

ロックの考えをさらに発展させ、徹底した人民主権(国民主権)論を主張したのがフランスの思想家ルソーです。

社会契約論

社会契約論で、社会契約で人々が国家がつくってからも、ほんとうに自由・平等と幸福を実現するためには、人民は約束(契約)によって人民主権の政府をつくるほかないと説き、社会全体の利益をめざす全人民の意思(一般意思)による政治が行われるべきであり、各人の意思は直接自分で表現するしかなく、すべての人民が直接政治に参加する直接民主制を主張しました。

  • 社会契約論…社会(国家)は、互いに自由・平等である個人の合意(約束ごと)で成立するという考え。ロックは、政府が合意を守らなければ、これに抵抗し、政府を変更できると説きました。

(例)イギリスの議院内閣制

議院内閣制は、現代政治制度の一つの典型となっている。

イギリスの立法機関である議会は、

  • 上院(貴族院)と下院(庶民院)からなっている。
  • 国民が直接選んだ議員からなる下院が優越している。

行政府である内閣は、

下院における多数党の党首が首相となって組織される。内閣は、議会の信任がある限り続くが、その信任がなくなれば総辞職するか、議会を解散して国民に信を問うことになる。政権を担当できなかった野党は影の内閣(シャドー・キャビネット)を組織して、次期政権担当の準備をする。

(例)イギリスの選挙

  • 小選挙区制…比較的政権交代を実現しやすいといわれる

二大政党が対抗し、緊張関係を保ちながら政治にあたっている。上院には最高司法機関としての役割があり、法律貴族とよばれる法的業務の経験を有する上院議員がこの役割を果たしている2009年には最高裁判所が設置された。

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経済のしくみ

資本主義経済と社会主義経済の図解
現在の世界には、

  • 資本主義経済
  • 社会主義経済

という2つの経済体制があるが、多くの国々が資本主義経済のしくみを採用している。

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資本主義経済のしくみ

資本主義経済は、つぎの3つがおもな特徴としてあげられる。

  1. 私有財産制:機械や原材料などの生産手段の私有が認められている。
  2. 経済活動の自由:利潤の追求を目的とした自由競争がおこなわれている。
  3. 多くの財は、市場で売るための商品として生産され、労働力も商品となっている。

資本主義経済の成立

18世紀半ばすぎにイギリスでおこった産業革命では、蒸気機や紡績・織物の機械などが発明・改良され、マニュファクチュア(工場制手工業)から工場制機械工業へと生産が転換した。

工場制機械工業の成立によって、繊維製品を人手をかけずに安 く大量生産することが可能となり、多くの労働者が工場で働くようになった。この結果、農業を主とする自給自足的な経済から、工場での商品生産を主とする資本主義経済へ移行した。

確立期の資本主義経済

産業資本主義ともよばれ、多数の小規模な企業による自由競争がおこなわれた。そこでは、他の企 業との競争に勝つために、「より良い商品を、より安く」生産しようとし、技術革新(イノベーション)や生産規模の拡大による生産費(コスト)の引き下げ(規模の経済)がはかられた。

また、 商品の需要と供給は、価格によって調整される市場経済のしくみが機能していた。

資本主義経済の発達

世界で最初に産業革命を経験したイギリスは「世界の工場」とよばれ、世界経済をリードしたが、産業革命はフランスやドイツ・アメリカにも広がり、日本も日清・日露戦争のころには産業革命を成しとげた。

19世紀後半には、鉄鋼や内燃機関・電気などの分野で技術革新がおこり、重化学工業化が進んだ。その結果、企業が大規模化し、多額の資本が必要となって株式会社制度が発達した。

生産の集積・集中が進み、競争に勝ち残った少数の大企業が市場を支配(寡占)するようになった。このような新たな段階の資本主義を独占資本主義ということもある。

欧米資本主義諸国は強力な軍事力を背景に、アジア・アフリカを原材料の供給地や製品の輸出市場。あるいは資本の投資先とする植民地化政策をおし進め、たがいに対立するようになった(帝国主義)。

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資本主義経済の歴史(起こり)

1929年、アメリカでおきた大恐慌(世界恐慌)は世界に広がり、企業の倒産や労働者の失業など、大きな経済的混乱を引きおこした。

ブロック経済(イギリス・フランス)

植民地を持つイギリスやフランスは自国と植民地間の貿易の利益を優先し、その他の国から 輸入する製品に対して高い関税をかける保護貿易主義(ブロック経済)で対応した。

  • イギリス…1932年のオタワ連邦会議で、イギリス連邦内の関税を引き下げ、連邦外の国に高関税を課すスターリング・ブロックを結成した。
  • フランス…植民地や友好国とフラン通貨圏を築いた。

植民地をイギリスやフランスほど持たないドイツ・イタリア・日本などは、自国の勢力圏を拡大するために、植民地の再分割を求めて全体主義(ファシズム)に傾いていった

ニューディール政策(アメリカ)

アメリカは、フランクリン・ルーズヴェルト大統領が大恐慌からの回復をはかるためニューディール政策を展開し、政府が積極的に経済に介入して、全国産業復興法(1935年)、最高裁によって違憲判決を受ける)団結権や団体交渉権を認め不当労働行為の禁止を規定した全国労働関係法(ワグナー法)、社会保障法などを制定した。

第二次世界大戦後

第二次世界大戦後、世界の多くの資本主義諸国では、このケインズ政策を取り入れ、経済の安定成長と完全雇用、国民福祉の充実をめざす「福祉国家」の実現が経済政策の大きな目標となった。そのため、政府の経済活動に対する役割が大きくなり、 私企業や家計などの民間部門と並存し、たがいに密接な関係を持つ混合経済(修正資本主義)となった。

1980年代の政策

1980年代になると、アメリカなどではケインズ政策に基づく財政支出の増加による財政赤字の拡大とインフレ圧力の増大に対して、規制緩和や民営化などで政府の役割を縮小し (小さな政府)、市場経済本来の機能を回復しようとする考えが出てきた。

世界規模で活動する多国籍企業の登場や、コンピュータを利用した国境を越えた金融取引、情報技術革命の進展によるインターネットビジネスの登場など、経済のグローバル化も進み、国民経済の枠を超えた経済活動が展開される。

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社会主義経済のしくみ

資本主義経済の確立期には、労働者は低賃金・長時間労働などの劣悪な労働条件と経済的不平等のもとにおかれ、貧困に苦しんでいました。

社会主義以前

マルクスより先にあらわれたフランスのサン・シモンやフーリエ、イギリスのロバート・オーウェンらの思想は、マルクスの科学的社会主義に対して、空想的社会主義といわれる。

社会主義のしくみ

社会主義経済では、生産手段の私有は原則として認められず、

  • 工場や機械設備・農地などの生産手段は国有または公有
  • 生産は政府の立てた計画に基づいておこなわれる(計画経済)
  • 成果は労働に応じて分配
  • 精算手段を私有する資本家はおらず、すべての国民は働く者である労働者と農民

社会主義経済の成立

マルクスの考えに基づき、1917年、レーニンの指導によりロシア革命がおこり、世界最初の社会主義国であるソヴィエト連邦(ソ連)が成立した。

■ 第二次世界大戦後
社会主義経済は東欧や中国・ベトナムなどにも広がり、1960年代初めまでには、資本主義諸国と並ぶ経済成長をとげた国もあらわれた。
■ 1970年代後半
政府主導の集権的計画経済 のもとでは商品の品質改善が進まず、消費者の多様なニーズに応えられない生産システム、能力や労働力の質に対応しない賃金制度などによる勤労意欲の減退、技術革新に対する立ち遅れなど、社会主義経済の問題点があらわれてきた。

そこで、ソ連では利潤方式を導入したり、ペレストロイカ (改革)政策をおこなったが、1991年に旧ソ連は解体し、社会主義体制を放棄して資本主義体制へ転換した。

社会主義市場経済

中国は「社会主義市場経済」により市場経済化・工業化 を進め、世界の「生産基地」となるとともに、GDPの規模でも日本を追い越して、世界第2の経済大国になった。

  • 臨海部と内陸部の経済発展の格差と貧富の差の拡大
  • 公害問題の発生
  • 環境問題の深刻化
  • 1997年の 香港返還による一国二制度などの問題

をかかえている。

社会主義のその他の国

その他、東欧諸国も資本主義経済体制に転換し、ベトナムはドイモイ(刷新)政策による改革・開放政策を進めている。

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社会主義とファシズム

19世紀末から資本主義諸国は帝国主義の段階に入り、矛盾を深めていくなかで、労働者階級を中心とした勢力が政権につき、生産手段を公有化して。社会的平等をはかろうとする社会主義の政治体制をめざす運動が高まってきた。

ロシア革命

1917年にレーニンらが指導したロシア革命により、世界で最初のマルクス主義に基づいた社会主義国であるソヴィエト社会主義共和国連邦(ソ連)が成立した。レーニンの死後、指導者となったスターリンは、一国社会主義論を主張して独裁化を進めた。

ナチス

1929年、アメリカ合衆国から世界へ拡大した世界恐慌により資本主義経済が 危機におちいると、イタリアのムッソリーニが率いたファシス ト政権。 ドイツのヒトラーが率いたナチス政権。 日本の軍部が率いた軍国主義政権などが台頭した。ナチス政権のユダヤ人大量虐殺をはじめ、日本の軍国主義政権下でも南京での中国人虐殺、朝鮮人の強制連行など、生命と人権を踏みにじる行為がおこなわれた。

社会主義国家

第二次世界大戦後には、東欧やアジアなどにもつぎつぎと社会主義国家が誕生した。ほとんどの社会主義国では、資本家階級の権力を排除して権力分立を否定した政治形態をとり、共産党による一党独裁のプロレタリア独裁体制がしかれて、社会的平等を重視した政策が遂行されていった。しかし、指導部のつくる計画経済や、自由権を大幅に制限した政治体制は、思うような成果をあげられず、東欧諸国は1989年以降に,、社会主義体制を放棄していった。

ソ連解体

1991年には、社会主義諸国の中心的存在であったソ連が解体した。その一方で、20世紀の初め、社会主義運動や労働運動の盛りあがりに対抗し、これまでの議会政治の制度を利用しながら、民主主義や基本的人権の考え方を否定する政治体制が生まれてきた。それがファシズムである。これは、国内的には国民の自由や人権を抑圧しながら民族主義的・国家主義的政策をかかげ、対外的には侵略主義政策をとる体制であった。

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市場経済の機能

資本主義経済のもとでは、

  • 企業は生産物を商品としてより安くく売ろうとし(供給)
  • 消費者はより良い商品をより安く買おうとする(需要)

この供給と需要が価格によって調整される場が市場である。

一般に自由競争がおこなわれている市場(完全競争市場) は、供給が需要より多いと商品が売れ残り、価格は低下する。価格が下がると、供給側は供給を減らし、需要側は需要を増やす。

逆に、需要が供給より多いと品不足となり、価格は上昇する。価格が上がると供給側は供給を増やし、需要側は需要を減らす。このようにして、需要と供給の関係によって価格は上下するとともに需要と供給は価格を目安に調整される。

市場価格

市場での需要と供給の関係で決まる価格を、市場価格という。市場価格が需要と供給を調整する働きを価格の自動調節機能といい、アダム・スミスはこれを神の「見えざる手」にたとえた。

この働きが市場でおこなわれることから、これを市場メカニズム(市場機構)といい、市場メカニズムによって 資源の最適配分が実現される経済のしくみを市場経済という。 市場経済においては、需要が減少している斜陽産業では、商品 が売れずに価格が下落するため平均利潤が減少する。成長産業 では、商品の需要が多く価格が上昇し、平均利潤が増加する。

資源の最適配分

資本が斜陽産業から成長産業に移動し、資源の最適配分がおこなわれる。 市場には、

  • モノやサービスが取引される商品市場
  • 労働が取引される労働市場
  • 資金が取引される金融市場
  • 外国通貨が取引される外国為替市場

金融市場には、株式な どが取引される株式市場(証券市場)も含まれる。これらの市場では、賃金や金利、外国為替相場(為替レート)、株価がおのおのの価格の役割を果たしています。

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価格とは

経済活動の中心は、市場取引です。売り手と買い手が出会う場所は、すべて市場です。株式市場もその1つです。市場経済では、必要な財・最頻値を貨幣、つまりお金と交換に商品として獲得します。このときの、商品と貨幣の交換比率が価格ということになります。

  • 市場…モノを売買する場所の総称。
  • 財…食料、衣料、住宅などの有形商品。
  • サービス…衣料や交通、保険、教育、公務など無形の商品。

需要と供給の関係

価格は、モノを買うか買わないかを決定する大きな要素ですから、価格には、経済行為の選択機能があるといえます。市場では、価格がその商品の需要と供給を決めます。

  • 需要…消費者がモノを買うこと
  • 供給…生産者が作ったモノを売ること

一般的に、需要は根が上がれば減少し、値が下がれば、増加します。安ければ、買うという当たり前の行為です。一方で、供給は値が上がれば、増加し、値が下がれば減少します。価格によって消費行動は大きく左右されるわけです。価格が高くなれば、超過供給となり、価格が安ければ、超過需要がうまれます。

  • 超過供給→売れ残り→価格下落
  • 超過需要→品不足→価格上昇
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均衡価格の決定

需要供給曲線(関係図)
均衡価格は、その商品にとって最も適切な価格です。均衡価格は、需要量=供給量の状態が実現し、この状態を資源の最適配分といいます。売れ残りも品不足もない、いい状態になります。

価格の自動調節作用

均衡価格になるまでに、価格は上下しながら、需要量と供給量が一致に向かっていくプライス・メカニズムのことを「価格の自動調節作用」という。このことを、アダム・スミスは、「(神の)見えざる手に導かれて予定調和に至る」と国富論(1776年刊)と表現しています。

完全競争市場の成立条件

価格の自動調節作用が十分にはたらくためには、完全競争市場の成立条件があります。

  1. 売り手も買い手も多数存在して、誰も価格に対する支配力をもたないこと。
  2. 市場に成立する価格を、重要者・供給者の所与の条件として受け取ること。
  3. 取引される商品は全く同質同等であること。
  4. 市場に参入したり退出したりすることが、完全に自由でなかればならないということ。
  5. 全ての市場参加者が、価格と数量。品質などについて完全な情報を持っていること。

5つの条件があります。

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貿易の意義

原油などの地下資源が豊かな国、工業が発達している国、工業が発達している国など、各国の産業の状況はさまざまである。

保護貿易

国内の工業が成長していなかったドイツでは、保護貿易主義を主張した。発展がはじまったばかりの幼稚産業に国際競争力はなく、貿易はその産業分野の発展性を失なわせるものと主張した。

自由貿易

国際分業をするためには、各国が輸入や輸出に制限を設けない自由貿易がおこなわれるべきとした。当時のイギリスは、高い工業力を持ち、国際競争力のある工業製品を輸出して、周辺諸国の安い農産物を購入することが利益をもたらすと考えた。

GATTとWTO

自由貿易と保護貿易をめぐる考え方の対立は、先進国と発展途上国、先進国相互間の貿易について、現在もくり返されている。

相互依存関係が深まった現在の国際社会では、自由貿易を推進させるために自由貿易への障害を取り除こうと関税及び貿易に関する一般協定(GATT)世界貿易機関(WTO)などで話し合いが進められている。日本でも、農業や衣料品などの軽工業分野の保護と輸入自由化との関係が課題となっている。

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貨幣の働きと種類

資本主義経済では、モノやサービスは商品として提供されるが、それを買った人はその対価として代金を貨幣で支払わなければならない。また、労働者は労働を提供した対価として、賃金を貨幣で受け取っている。このように、貨幣は経済活動の 「血液」のような役割を果たしている。

通貨供給量(マネー・サプライ)

経済成長、景気変動、物価などの経済活動の大きさや動きは、 世のなかに出回っている貨幣の量である通貨供給量(マネー・サプライ)の大きさとその回転の速さに大きな影響を受けている。たとえば、通貨供給量が多ければ、消費者の購買意欲が増し、企業も資金を借りやすくなり、設備投資も増加するが、一方で、需要が増加するために物価は上昇する。

マネー・サプライとは、金融機関以外の個人や企業などが保有する現金や預金などの流動性が高い通貨量のこと

  • M1…現金通貨と要求払い預金(当座預金や普通預金)
  • M2…M1に定期預金を加えたもの

M2に譲渡性預金(CD)を加えたものが通貨供給量として使われている。

貨幣

  • 商品の価値をはかる価値尺度
  • 同じ価値を持つ商品との交換手段
  • 売買などで生じる債務の支払手段
  • 価値を保存しておく価値貯蔵手段

としての機能がある。

現金通貨

日本で使われている貨幣には、日本銀行が発行している紙幣(日本銀行券)と独立行政法人造幣局が発行している硬貨(補助貨幣)があり、両者を合わせて現金通貨としている。

しかし、現在の経済社会では、現金を使用しないで、銀行やゆうちょ銀行の普通預金を利用して振込で支払をしたり、大さな取引には現金を使わないで、当座預金を利用した小切手や手形を使用して決済することが多い。 支払手段の機能を持つ普通預金や当座預金などの銀行預金を預金通貨といい、現在では現金通貨以上の大きさになっている。

金融の働き

経済活動に必要な資金を、必要なところに融通し合うことを金融という。

高度経済成長期の企業の設備投資資金は、おもにこの間接金融で調達されたため、銀行を中心とした企業グループが形成された。バブル崩壊後は、企業が株式や社債を発行して、銀行を通さずに直接資金を調達する直接金融が多くおこなわれるようになっている。

現在のように企業規模が大きくなると、企業は株式や社債の発行、金融機関からの借入などによって、広く資金を調達する必要がある。このため、現在の資本主義経済では、銀行や証券会社といった金融機関の役割が重要になっている。

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独占禁止法とは

1947年に制定された独占禁止法の正式名称は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といいます目的は、自由競争を実現して、市場機構つまり価格メカニズムを働かせることです。

カルテルの種類

カルテル(企業連合)は「協定」です。

  • 価格カルテル…価格を同じにしようとすること
  • 生産カルテル…生産量を同じくらいにして増やすのをやめようとやめること。
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独占禁止法の歴史(改正の流れ)

  • 1947年 カルテル全面禁止(背景に、財閥解体=GHQの民主化政策の1つ)
  • 1953年 不況カルテル、合理化カルテルはO.K(経済成長の実現へ)
  • 1999年 不況カルテル、合理化カルテルを廃止(規制緩和)

不況カルテルと合理化カルテル

1953年に不況カルテル・合理化カルテルが合法化されるわけですが、それは、1950年に始まった朝鮮戦争も1つのきっかけです。

日本が経済成長をする必要がありました。これはアメリカ合衆国の1つの魂胆が見え隠れします。アメリカから見て、西側のリーダー、防波堤として日本になってもらう必要がありました。

そのため、経済復興のため、ある程度の企業が一致して、政策を推し進める必要があったというわけです。不況カルテル・合理化カルテルをみとめ。不況業種や合理化が必要なことに関しては、カルテルを認めるようになりました。

不況業種であるかどうかは、公正取引委員会が認めた産業のみでした。

トラストとは

トラストとは、同種産業に属する複数企業の合併によって成立する巨大企業のことです。企業合同ともいいます。独占禁止法では、このトラストを禁止してはいませんが、規制しています。

コンツェルン

コンツェルンとは異種産業に属する複数企業が、金融・持株方法によって事実上、支配従属関係に立つ企業結合形態のことです。戦前の財閥がその1つの例です。これは、独占禁止法で禁止されています。

しかし、現実には、企業が他企業の株式を取得することによって業務提携をすることは多くみられます。これを株式の持ち合いといいます。

持株会社

持株会社とは、他者を支配する目的から、株式を取得する会社です。独占禁止法の改正で、持株会社の解禁されています。

<解禁された理由>

  • 不況対策として大企業が必要
  • ビッグバンの中で外資系の金融に対抗できる強い銀行や証券会社の育成が必要

以上のようなことが挙げられます。国際競争力を高めるためですね。

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金融機関

金融機関一覧
金融を仲介する金融機関には、

  • 銀行
  • 証券会社
  • 保険会社
  • 政府系金融機関である日本政策投資銀行・国民生活金融公庫

などがある。

銀行

銀行には、全国的に営業を展開している都市銀行と、一定地域を中心に営業を展開している地方銀行とがある。また、日本銀行に対して民間の銀行を市中銀行という。銀行は家計・企業から資金を預かり(預金)、資金を企業などに融資し、家計・企業に支払う預金利子より高い貸出利子を企業などから得ている。

銀行の業務

銀行の業務には、

  • 預金を受け入れる預金業務(受信業務)
  • 資金を融資する貸出業務(与信業務)

がある。預金には、当座預金や普通預金・定期預金などがある。

当座預金は、企業が決済用に利用し、預金の支払は小切手や手形を通じておこなっている。

普通預金は、自由に預金・払戻しができるので、単にお金を預けるだけでなく、家計の給料・年金などの受取や電気やガス・水道などの公共料金、クレジットカードの利用代 金の支払、住宅ローンや自動車ローンの返済などにも利用されている。

銀行の貸出は、支払期日前の手形を支払期日までの利子を差し引いて買い取る形で資金を貸し付ける手形割引や企業の設備投資や家計の住宅ローンなどの長期にわたる資金を約束手形や借用証書により貸し付ける手形貸付・証書貸付などのしくみでおこなわれている。

銀行は預金のうち、支払準備分以外を貸出に回すが、企業は貸し出された資金を当座預金としていったん銀行に預けて利用することが多いので、銀行は預けられた当座預金をもとにたびたび他の企業に新たな貸出をおこなう。これをくり返すとい によって、銀行は最初に受け入れた預金(本源的預金)以上の通貨供給をおこなっている(信用創造)。

証券会社

証券会社は、企業の株式発行の取扱いをしたり、株式の売買を仲介して手数料を得ている。

保険会社

保険会社は、生命保険や損害保険などの加入者から掛金(保険料)を受け取り、死亡や火災、自動車事故などが発生したときに保険金を支払うが、掛金の受取と保険金支払いまでの間に、積み立てられている準備金を企業に融資したり、不動産や国債や株式に投資したりして、利益を得ている。

ノンバンク

銀行と異なり、預金業務をおこなわずに、資金の貸出業務のみをおこなっている金融機関をノンバンクという。ノンバンクには、企業向けの金融をおこなっているリース会社や商工ローンなどがある。

  • バブル経済期…銀行などからノンバンクを通じて不動産融資がおこなわれた。
  • バブル経済崩壊後…融資が回収されずに不良債権化し、不良債権問題を引きおこした。

消費者を対象としたノンバンクには、消費者金融(いわゆるサラ金)や質屋・クレジット会社などがある。これらの金融機関は、お金を借りるための審査も簡単で、手軽にお金を借りられ、またクレジットカードで商品が手に入るため、金銭感覚を失って、高い金利や複数の金融機関からの多重債務などで苦しんだり、自己破産をする消費者も出ている。

  • 多重債務…一つのクレジット会社へ返済をするために、他のクレジット会社からさらに借金をして、複数の金融機関から 返済能力を超えた借金をしてしまうことである。
  • 自己破産…返済不能な借金をかかえた債務者が、自分で裁判所に破産を申し立てて破産宣告を受けることである。

消費者金融、貸金業法(サラ金規制法)や出資法(利息制限法)などの法律で規制されているが、借りるときには消費者一人ひとりが契約の重要性を理解し、自己責任の原則を自覚した資金計画を持つことが大切である。

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市場の失敗とは

ここがポイント!
市場限界(失敗)とは、市場メカニズムがうまく機能しないことで、➊寡占・独占の弊害、➋外部不経済などの外部効果、➌公共財の不十分な供給などがあります。

市場の失敗とは、市場機構が成立しない場合や市場が成立しても問題が生じている場合のことをいいます。

市場の失敗ケース

  • 完全競争市場が不成立
  • 完全競争市場で解決できない問題がある
  • 市場外の第3者の影響が大きい

の3つのケースがあげられます。

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完全競争市場が不成立

完全競争市場が不成立とは、独占・寡占状態であることも1つです。価格の変動が起こらず、価格の自動調節作用がはたらいていない場合は、市場の失敗におちいるケースが多いです。

たとえば、電気・ガス・水道などのように公共性の高い財やサービスについては。これまで政府が市場介入して政策的に統制価格を設定してきました。現在では、規制緩和が進み、電気、ガスなどについては、自由化が図られるようになりました。

完全競争市場で解決できない問題

公共財・公共サービスの提供などがそれにあたります。警察・消防サービスなどは、もともと儲かるものではいので、民間企業では提供されない財でありました。完全競争市場では、貧富の差は避けられませんが、警察・消防サービスは、皆公平にサービスを受けられます。

市場外の第3者の影響が大きい

2つの場合が考えられます。第3者に不利益を与えてしまう外部不経済と第3者に利益を与えてしまう外部経済です。

  • 外部不経済の例として、企業が生産活動を行うことで、地域住民に公害病を発生させてしまうなどです。
  • 外部経済の例として、駅の建設などです。駅ができたことで、その地域周辺の第3者が便利になります。この便利になることも市場の失敗ケースとなります。大学入試では、ここが狙われます!
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現在の市場の状況

現代の市場は、完全競争市場が成り立っているとはいいがたい状況です。どの業界においても、大企業がその産業の市場のシェアを独占・寡占している場合が多いです。つまり、自由競争の結果、企業が淘汰されて大企業だけが残ってしまったとも言えます。成熟産業ほとそういう傾向が強くなります。

このような産業・市場では、競争相手がいないわけですから、価格を高くして利益を上げようとします。この価格が管理価格です。つまり。その産業におけるプライス・リーダー(価格先導者)が、高めに価格を設定します。それにより、数少ない競争相手も、その価格にあわせていきます。いわゆる暗黙の慣行です。話し合っていれば、独占禁止法のカルテルにあたります。

管理価格は、高く維持される傾向がつよい特徴をもっています。これを価格の上方弾力性といいます。さらに、独占・寡占市場では、徐々に価格があがっていくとき、そのことを管理価格インフレといいます。

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金融自由化の背景

「フリー・フェア・グローバル」をかかげ、欧米に遅れをとった日本の金融システムを抜本的に改革するプロジェクトとし、金融自由化つまり金融面での規制緩和の動き活発になったのは、大きく4つあります。

1.間接金融依存度の低下

第一にこれまで資金の借手であった企業の財務体制が強化されて、自己資本比率が高まり、間接金融依存度銀行からの歳入金の割合が低下したことが挙げられます。この結果、政府や日銀による介入・規制による金利政策効果は限定的となりました。

2.大量の国債発行

第二に政府部門の資金不足のために大量の国債が発行されたことです。

以前は規制金利がとられていたので、政府又は日銀が市中銀行の金利を統一的に決めていました。そして、政府は銀行の利子を低めにおさえながら、自分は少し高めの利子を約束し、国債発行していました。国債というのは、政府から見れば借金、国民にとっては、貯金と同じようなものです。国に一定期間お金を貸せば、利子をつけて返してもらうわけですから、少しでも高い利子の高い国債を買うわけです。

政府が国債を乱発して、国民のお金どんどんとっていくと、銀行にお金が集まらなくて困る。その結果、銀行業界が、政府に金利の自由化の保障を要求することになりました。

3.個人資産の増加

第三に個人の資産が増えて、金利の有利な金融商品を求めるになったこと。個人の資産運用に関しも、多様化してきて儲かるものに資産が集まるようにになりました。ここでも自由競争は求められました。

4.アメリカの要求

第四に、外国金融機関の日本市場参入の要求が強まったことです。アメリカが日本の金融市場開放要求してきたことが、一番の要因。1980年代になると円の国際化、日本への金融市場開放要求は本格化しました。

アメリカの銀行は、日本で営業するためには、日本の有権者に少しでも高い金利で貯金してもらい。少しでも安い金利でお金を貸す努力をしてシェア拡大できません。日本人は、馴染みにある日本の銀行に預金してしまうからです。ですからアメリカの銀行が日本の金融市場に参入して日本の銀行に勝つためにはこういう努力ができる自由競争しかありませんでした。

金融の自由化の背景として、特にこのアメリカの要求と国債の大量発行による銀行の内部からの要求というのを押さえておきましょう。

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規制緩和

政府が企業の自由な活動を制約することを、規制といいます。日本では、どんな仕事をするにしても担当官庁の許可が必要となります。これを許認可行政といいます。近年市場の活性化、国際化な対応のため規制は緩和されてきています。それは、行政府の許認可権限を縮小して、企業の市場参入を自由化しビジネスチャンスを拡大しているわけです。競争原理によって生産性を高めて市場を活性化するという考え方です。

日本版ビッグバン(金融大改革)

1970年代以降、特に1980年代においては世界的な金融の自由化が進められ、金利の決め方や銀行証券会社などの業務の規制が大幅に緩和されました。日本でも1997年より日本版ビッグバン(金融大改革)と呼ばれる、銀行証券・保険業務自由化を内容とする大改革がありました。

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企業の社会的責任

企業は市民社会の一員として、最低限の法令遵守や利益貢献といった責任を果たすだけではなく、市民や地域・社会の要求に応え、社会貢献や社会的配慮、情報公開や対話を自主的におこなうべきであるという考え

具体的には、

  • 地球環境への配慮
  • 適切な企業統治と情報開示
  • 誠実な消費者対応
  • 環境や個人情報保護、ボランティア活動支援などの社会貢献
  • 他域社会参加などの地域貢献
  • 安全や健康に配慮した職場環境と従業員支援

企業の社会的責任という考え方が普及した背景

  • 株式市場や格付 機関が企業評価の尺度として社会的責任(CSR)の視点を取り入れるようになってきたこと
  • 社会的責任(CSR)に取り組むことで観客や消費者にプラスのイメージを与え、その企業の商品の売上げの増加が見込まれること

など

企業の社会的責任の要綱については、日本経団連が「企業行動憲章」、経済同友会が「自己評価ツール」などを提示している。

企業の社会的責任の歴史的流れ

資本主義経済のもとで、企業は他の企業と競争して、利潤をあげるために技術革新を進め、生産性を向上させてきました。その結果、消費者のニーズに応えたより良い商品をより安く提供したり、労働者には高い賃金を払うなどの良い待遇を実現し、より多くの配当を投資家に出してきた。さらに、雇用の促進を技術開発によって、地域社会や経済全体の発展を実現してきた。

企業の負の側面

企業は利潤をあげることを重視するあまり、公害問題や薬害・有害食品・欠陥商品などの消費者問題、「過労死」などの労働問題をひきおこし、地域社会や消費者・労働者に被害を 与えることがあった。

資本主義経済は、経済活動の自由を原則としており、問題を起こさないようにするためには、経済活動を営む経済主体の法令の遵守(コンプライアンス)や企業倫理に基づいた活動を期待する側面が大きい。

企業の役割

環境保全などのプラス面だけでなく、商品の安全性や経営上の問題などのマイナス面も含めた情報開示(ディスクロージャー)や企業トップが説明責任(アカウンタビリティ)を果たすことが必要である。

企業が市民社会の一員としての活動を期待されることも多くなってきている。

  • スポーツや文化・芸術活動への支援(メセナ)
  • 福祉や地域の緑化活動、体育館やプールの施設開放、慈善活動への援助など、社会貢献活動(フィランソロピー)をおこなっている企業も多い

企業の最近のCSR

最近では、

  • 工場や事務所のバリアフリー化に取り組み
  • 障害者の積極的な雇用を推進
  • 視覚障害者向けに点字の商品カタログ

をつくる企業もある。
そのほかに

  • 従業員がボランティア活動ができるようボランティア休暇制度の導入
  • 福祉や地域活動、国際協力に参加しやすくする制度の導入

企業も出てきている。

このように、市民社会の一員として企業の社会的責任 (CSR)を果たすことが、企業が存立するために必要な時代となっている。

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租税の意義

租税は、国や地方公共団体がおこなうさまざまな経済活動を支えるおもな財源であり、日本国憲法では納税の義務が国民の三大義務の一つである。租税の徴収にあたっては、公平の原則が大切になる。

公平の原則

公平の原則には、所得や消費額が同じ者は同じ負担をするという水平的公平、所得の多い者はより大きい負担をするという垂直的公平の観点がある。

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今日の租税制度

今日の租税制度では、所得の多い者ほど税率を高くする累進課税制度をとり、配偶者や子どもの扶養が必要な人たちには、課税対象額から配偶者や子どもを扶養するための費用を差し引く控除制度を設けている。

また、権力者による恣意的な重税が、しばしば人びとを苦しめたことから、新たに租税を課したり、それを変更するには法律による、という租税法定主義の原則が憲法(84条)に定められている。

間接税と直接税

租税には国に納める国税と、地方公共団体に納める地方税がある。国税のおもなものは所得税と法人税で、税収全体の半分以上を占めている。地方税には、住民税である(都)道府県民税や市町村民税土地や家屋に課税される固定資産税企業や商店などの事業に課税される事業税がある。

また、租税は租税負担の観点から、直接税と間接税に分けられる。日本の税制は直接税が中心となっている。

■ 直接税
直接税は、租税負担者と実際に納税する者が同一で、所得税や法人税・相続税・住民税などがある。

  • 所得税…個人が1年間に得た所得に課税され、累進課税となっている。
  • 法人税…企業などの法人の所得に課税され、法人の種類によって一定の比率で課税されるが、不況期には税収が落ち込むという特徴
■ 間接税
間接税は、租税を負担する担税者と実際に納税する者が異なる税で、消費税や酒税、海外から輸入した商品に課税される関税などがある。

消費税

消費税は事業主などが納税するが、商品やサービスの購入・消費価格に上乗せされるため、最終的には消費者が負担するしくみになっている。消費税は、所得の多少にかかわらず、商品を購入・消費するすべての人に対して一律に課税されるため、生活必需品への課税は低所得者には相対的に重い負担になる逆進的な性格を持つ。

消費税は商品の代金を支払うときにいっしょに納税し、1回ごとの納税額が少額であることが多いことから、負担者にとって納税感が所得税にくらべて薄いという面もある。

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税制の課題

日本は、第二次世界大戦後のシャウプの税制改革により、所得税を中心とする直接税中心主義をとってきた。しかし、高度経済成長が終わり安定成長になると、所得税・法人税などの税収の伸びが鈍り、少子高齢社会に向けて新たな財源を考えなくてはいけなくなりました。

不公平税制

給料から直接所得税を源泉徴収されるサラリーマンと、自分で所得を税務署へ確定申告する自営業者などとの間で、税務署に把握される所得の捕捉率に格差があることが、不公平税制として問題にされてきた。サラリーマンは9~10割捕捉されるのに対し、自営業者は5~6割、農民は3~4割しか捕捉されないという不公平な状況が、「トーゴーサン(10・5・3)」、「クロヨン(9・6・4)」として批判されてきた。

そこで1989年に、これまでの直接税中心の税制を、間接税の割合が高い税制へ改めようと税制改革がおこなわれた。この改革によって、所得税や法人税の税率が下げられる一方で、消費税が導入され、消費税率は価格の3%とされ、1997年にはこれが5%に引き上げられた。なお、そのうちの1%は地方消費税として地方税に組み入れられている。

今後の税制

少子高齢社会の進展にともない年金や医療費などの社会保障給付費が今後急速に増加し、租税負担が増えている。それを誰がどのように負担するかが課題となっている。私たちは、民主主義社会を担う一員として、納税の義務を果たすとともに、その税金が国民生活の安定と福祉の向上のために、どのように使われているかを、主権者として見守っていくことが大切である。

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日本版金融ビッグバンの内容

  • 大きく株式仲介手数料の自由化
  • 持株会社解禁
  • 外貨交換業務の自由化
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株式仲介手数料の自由化

株式取引手数料の自由化は、株式市場が活性化することを目指しました。ボーダレス・エコノミーと称されるように金融取引は国境を越えニューヨークやロンドンなどの各国の金融市場と結びついてグローバル展開されるようになります。この中で、外国人の日本向け投資を拡大させるために商品取引法が改正されました。具体的には株式仲介手数料自由化するという決定です。

株式仲介手数料の自由化前

証券会社手数料で設けています。その証券手数料が以前は規制されていました。例えば、株の売買なら売るときに1.5%、買う時に1.5%のように往復で約3%の手数料がありました。つまり、株購入者は、持ち株の売買で儲けようと思ったら3%の手数料以上に、株価が上がっていなければならなかったわけです。

株式仲介手数料の自由化後

証券取引法改正でこの手数料が自由化されました。そうすると自由競争になり、安い手数料で株式取引の仲介をする証券会社も出てきます。手数料の値下げが実現できれば株式取引の活性化もできるだろうという考え方に立ったのが、証券取引法改正です。

この結果、証券会社ますます厳しい競争にさらされます。競争が増すのでも潰れてることが出てくるでしょうし。今後は合併するという形でやっていくところも出てくるかもしれません。

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持株会社の解禁

一部の大企業が市場支配してしまうというと問題だということで、これまで、1947年の独占禁止法法定で持株株式を全面禁止されたいました。しかし、これは1997年の改正により解禁されました。これもビッグバンの1つです。

金融業務の自由化

持株会社は外資系企業の進出に対する日本企業の競争力を高める目的で解禁されました。金融持株会社も認められたので、金融業務を超えた持株支配による巨大の金融グループが形成できます。まさに、金融業務の自由化を実現する金融パックのビッグバンの1つといえます。

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外貨交換業務の自由化

1998年4月から円ドル交換の業務自由化が実現され、交換手数料が安くなりました。これも自由競争下に入ったわけです。外国為替取扱銀行だけなく誰でも円とドルを交換できるようになりました。

外国為替法

  • 外国為替公認銀行以外でも外貨交換業務が可能
  • 銀行以外の一般商店でも外貨両替業務が可能
  • トラベルチェックも可能
  • 国内取引で外貨建て決済が可能
  • 外国銀行に自由に預金口座を持つことが可能
  • 事前の許可なしに海外証券会社での有価証券取引が可能
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財政機能

財政の役割フロート図
現代社会では、経済活動における政府の役割が非常に大きくなっている。この政府(国および地方公共団体)の経済活動を財政といい、その機能には、

  • 資源の配分機能
  • 所得の再分配機能
  • 景気の調節機能

がある。

道路や空港などの公共財(社会資本)、警察や消防などの公共サービスは、社会生活にとって必要であるが、事業規模も大きく、利潤追求を目的とする私企業では供給がむずかしいという性格を持っている。

  • 財政の資源配分機能…このような市場メカニズムでは供給がむずかしい公共財や公共サービスを、政府が提供することをいう。
  • 所得の再分配機能…高額所得者からは累進課税によって多くの税金を徴収し、生活が困難な者に生活保護などの社会保障による給付をおこなうことによって、貧富の格差を縮小させ、 公正な社会を実現することをめざしている。
  • 景気の調節機能…好況のときには税収が増加して企業の設備投資や個人消費をおさえ、不況のときには税収が減少する一方で、社会保障関係費の支出を増加させることを通じて、自動的に景気を安定させている。このような財政の働きを、ビルト・イン・スタビライザー(自動安定化装置)という。

フィスカル・ポリシー

不況が深刻化したときには、公共事業をおこなうことで財政支出を増加させたり、所得税を減税するなど、政府は積極的な財政政策で景気の回復をはかっている(フィスカル・ポリシー)。さらに金融政策と組み合わせる(ポリシー・ミックス)ことにより、安定した経済運営をはかっている。さらに最近では、消費者保護や環境保護、規制緩和に対応したセーフティネット(安全装置)づくりも政府の大きな役割となっている。

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国家予算とは

財政活動は、1年間を会計年度とする予算に基づいておこなわれており、日本では4月1日から翌年の3月31日までが、一会計年度とされている。予算は一般会計予算と特別会計予算からなる

  • 一般会計予算…内閣で1年間の歳出と歳入の原案が作成され、国会で承認を受けて執行されることになってる財政(民主主義原則)。

予算には、そのときの経済の状況や政府が重点をおく経済策があらわれる。たとえば、2009年度の一般会計予算をみてみると、歳入のおもなものは租税であるが、国債の発行による収入が歳入全体の約30%を占めるまでになっている。その結果、歳出でも国債の利払いや償還のための国債費が歳出全体の約23%と大きな割合を占めている。

  • 一般会計の目的…資源配分機能、所得の再分配、景気の安定
  • 一般会計の財源…租税

予算の歳出

歳出では

  1. 高齢社会の進行から社会保障関係費が約28%
  2. 地方財政の格差を是正して、全国どの地方公共団体でも同じレベルの行政サービスが受けられるようにするための地方交付税交付金が約18%,
  3. 景気対策のための公共事業関係費が約8%

の割合を占めている。

財政投融資

一般会計・特別会計予算に準ずる政府の経済活動として、「第二の予算」ともよばれる財政投融資計画がある。これは、財投債や財投機関債・政府保証債を発行して調達した資金や簡易保険積立金などを政府関係機関や地方公共団体などに投資や融資して、重要産業の育成や産業基盤(道路・港湾など)の整備宅建設の促進、農林水産業や中小企業の助成などをおこなうものである。

財投債にあてられる郵便貯金・厚生年金・国民年金の積立金は、これまで旧大蔵省資金運用部を通して投資や融資されていたが、近年は各機関が自主的に運用できるようになった。

  • 財政投融資の目的…資源配分機能と景気の安定
  • 財政投融資の財源…財投債(国債)などを発行して調達した有償資金(利子を付けて返済する必要)

公共事業

公共事業では、これまで生産関連社会資本の整備が大きな割合を占めていたが、最近は公園や上下水道などの生活関連社会資本の充実や、情報通信分野の成長産業育成のための基盤整備が求められている。

また、環境への影響を事前に調査する環境アセスメントや不要な公共事業に対する「時のアセスメント」制度の導入など、公共事業の見直しがおこなわれるようになっている。

時のアセスメント

とは、年月が経過した事業の見直しをするという考え方のことで、1998年に、政府は旧建設省などの公共事業に対して、

  • 5年経過後も用地が未買収か未着工
  • 10年経過後も継続中
  • 事業採択前の段階で5年経過している事業

の見直しをおこなうことにした。

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金融とは

そもそも金融とは、資金融通、つまり、お金の貸し借りのことです。たとえば、企業の資金調達方法を考えると、一般の国民から株式というかたちで投資してもらったり、社債というかたちでの直接金融。または、銀行型の貸し出してもらう間接金融という2種類があります。銀行からの借入金を間接金融とよぶのは、国民の預金が銀行を媒介として、間接的に企業に貸し付けられているからです。

株式と社債

株式と社債は、有価証券を発行して資金を集める点では共通しています。

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金融政策の目的とは?

通貨当局が、金融の媒介になっている銀行などに資金の融通を積極的に行われたり、あるいは制限することです。金融緩和、金融引き締めなどと表現します。

政策なので、個々の市中銀行が勝手に実施するものではなく、国の通貨当局、正確にいえば、政府や中央銀行が政策主体となります。物価変動や景気変動の原因は、流通通貨量にあります。これを管理して、物価・景気の調整を行います。金利の上げ下げを通じて、市場に流通している資金量を調節することです。

金融政策の目的は3つあります。

  • 物価の安定
  • 景気の調整(経済成長の維持)
  • 国際収支の均衡(対外的均衡)

特に経済においては、物価と景気は異なった現象であることを理解しておく必要があります。物価は商品の価格の変動であり、景気は取引が活発化停滞しているの問題です。

ボーダレス・エコノミー

ボーダレス・エコノミーのもとでは、国際取引、特に貿易によって国内流通通貨量は変化し、国内物価・景気に変化を与えています。たとえば、輸出が増加すると、外国からの支払いとして国内に通貨が流入します。すると。国内流通通貨量が増加するので物価が上がり。景気は過熱します。つまり、国際収支の黒字が国内流通通貨量を増加させ、物価上昇・景気過熱を招きます

輸入が増加すると外国への支払いが必要となるので、通貨が流出します。すると国内流通通貨量が減少するので物価が下がり。景気は停滞します。つまり、国際収支の赤字は、国内流通通貨量を減少させ、物価下落・景気停滞が招く

よって、国際収支の均衡は、国内流通通貨量を安定させるので、物価の安定と景気の調整・安定の前提条件となります。

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公開市場操作とは

公開市場操作によって、通貨用の調節ができます。

公開市場操作の具体的な政策

日本銀行と市中金融機関の間での売りオペと買いオペを総じて通貨量を調節し、金融市場の動きに影響を与えています。流通通貨量を直接増減させるので、量的金融政策といいます。

  • 売りオペレーション(売り操作)…日銀が有価証券を市中金融機関に売りつけたら、金融機関は代金を支払うことになりますね。その結果、市場の流通通貨量が減って、景気過熱・インフレがおさまります。日銀が売るので、売りオペレーション(売り操作)といいます。
  • 買いオペレーション(買い操作…市中金融機関が持っている手形、国債などを買うことです。日銀が金融機関に代金を支払うので、市場の流通過料は増えます。
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支払(預金)準備率操作とは

受けた預金のうち、貸し出しに回さずに預金の返信準備金として積み立てておく部分を準備預金または支払準備金といいます。その割合が、支払準備率(預金準備率)です。

支払(預金)準備率操作の例
準備率が10%なら、100万円のうち10万円を準備金として、残りの90万円しか貸し出すことができなくなります。
それが逆に準備率が1%なら、1万円を準備金として、残りの99万円を貸すことができます。
つまり、銀行から貸出量は、準備率が高くなると減少することになります。

この操作により通貨量を調節することが、支払準備率(預金準備率)操作です。

支払(預金)準備率操作の具体的な政策

景気過熱・インフレ対策として、流通通貨量を減少させる必要があるので、支払準備率を引き上げて市中銀行の資金を取り上げます。逆に不況・デフレ対策として、流通通貨量を減らさないために支払準備率を引き下げて市中銀行の資金を取り上げないようにします。

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公定歩合政策(金利政策)

市中銀行への貸出金利が上昇すると、銀行が企業に貸すときの金利も上昇します。高い金利でお金を借りた市中銀行は、もとをとるためにより高い金利で貸すからです。つまり、公定歩合の上げ下げの操作は、民間の資金需要に影響を与えるということです。

このように、公定歩合の上下によって間接的に流通通貨量を調節していく政策を公定歩合政策といいます。これは、質的金融政策といえます。

公定歩合のインフレ対策

景気過熱・インフレ対策としては、流通通貨量を減少させなければいけないので、公定歩合を引き上げます。これを、融引き締めといいます。これによって、市中銀行の貸し出し金利が上昇し、企業の資金需要が抑えられて、投資が鎮静化し景気過熱が収まります。

公定歩合のデフレ対策

逆に、不況・デフレ対策としては、公定歩合を引き下げることになります。これを金融緩和という。買うて歩合を引き下げれば、市中銀行の貸出金利が下落するので、企業などの資金需要が拡大して、投資が増加し景気が浮揚することになります。

1955年以来、不況対策として徹底した金融緩和が行われ、公定歩合を0.5%。さらには、2001年に0.1%(ゼロ金利政策)。そして、条件付きで、2016年マイナス金利を導入しています。

窓口規制

1991年に廃止された規制ですが、日本の独特の政策手段でした。これは、日銀が市中銀行の貸出額について、3か月ごとに目標額を指示する政策です。たとえば、日銀がある市中銀行に、「ちょっと景気が過熱しているから、これから3か月間貸出額を300億円に抑えてくれ。」と指導します。日本の金融はなれあいで、市中銀行は日銀に従うので、直接的な効果がありました。窓口規制は、金融の国際化・自由化の中で廃止されました。

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産業構造の高度化

日本では、高度経済成長期に国内総生産や就業者数の構成比でみた産業の中心が、

  1. 第一次産業
  2. 第二次産業
  3. 第三次産業

と移行し、産業構造の高度化が進んだ。また、製造業内部では、繊維・雑貨などの軽工業から造船・鉄鋼・石油化学などの重化学工業に生産の中心がしだいに移り、重化学工業化が進行した。

  • 農業<工業<商業

の順に収益が高くなることを、イギリスのウィリアム・ペティは経験則から主張したのである。

ベティ・クラークの法則

その後、イギリスのコーリン・クラークは、

  • 第一次産業を農業・牧畜業・水産業・林業など自然からの採取産業
  • 第二次産業を製造業・ 鉱業・建設業・ガス・電気事業
  • 第三次産業を商業・運輸・通信・金融・公務・その他のサービス業

に分類し、経済発展が進むと第二次産業・第三次産業の地位が上昇することを明らかにした(ベティ・クラークの法則)。

知識集約型産業

その後、第1次石油危機により、企業は省資源・省エネルギーのために合理化・減量化を進めた。その結果、鉄鋼や石油化学などの「重厚長大」型の素材産業から、自動車や工作機械・電気機器などの加工組立産業、さらに情報技術(IT)産業やコンピュータを利用した先端技術(ハイテク)産業など、より付加価値の高い軽薄短小型の知識集約型産業へと基軸となる産業の転換が進んでいる。

経済のサービス化

経済のサービス化の背景
経済のサービス化が進んだ背景には、IT革命に支えられた情報通信産業の発達、所得水準 の向上や余暇時間の増加によるレジャーや旅行関連産業の成長。女性の社会進出などにともなう外食産業の増加、高学歴化による教育産業や高齢社会を迎えての福祉サービス関連産業の拡大がある。
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中小企業の問題

日本の中小企業問題の特質として、日本の製造業に属する企業のうち98%は中小企業であり、従業員数でも60%以上を占めている。

高度経済成長はこれらの中小企業の集積が支えてきたともいわれている。

しかし、中小企業は、大量生産による「規模の利益」を活かせないため、労働集約的な産業分野や地域の特性を活かした地場産業的な分野に多く、資金調達力などの面でも経営基盤が弱い。

景気変動の安全弁

中小企業の多くは、大企業から部品の製造や加工を請け負う下請けや系列企業の立場におかれることが多かった。資金や技術を親企業にたより、価格や受注量の調整によって、景気変動の安全弁にされることもあった。

日本経済の二重構造

原材料や部品を親企業に安く納品し、親企業が生産した製品を高く購入する不利な条件のもとにおかれることもあっ た。さらに、労働条件も大企業とくらべ低賃金・長時間労働で、 福利厚生も不十分なことから、大企業と中小企業の格差は日本経済の二重構造といわれた。

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中小企業の変化

最近は、大企業と下請企業の間の閉鎖的な系列関係に対する欧米諸国からの批判にこたえ、また国際競争にうち勝つために、系列関係を整理したり、系列外の納品価格が安い中小企業に発注したりする大企業も出はじめて、従来の下請け・系列関係も変化しはじめている。

中小企業のなかにも、系列の親企業以外の企業と取引をはじめたり、ホームページに製品や技術力の広告をのせて世界中から受注しようとする中小企業も出てきている。

ベンチャービジネス

高度で専門的な技術力やアイディアを活かして、新製品や新サービスを開拓したり、先端産業分野でのすぐれた技術開発でベンチャー・ビジネスとして成功している中小企業もある。

中小企業の自立

中小企業は新しい技術革新の担い手としての側面も持っている。 旧来型の製造業の分野でも、東京都大田区に集中する機械金属工場や東大阪市の部品工場などは、地域の中小企業の集積によるネットワークや優れた技術を生かして世界的なシェアを持つ製品をつくったり,高度技術製品をつくっている。

中小企業への支援策

  • 中小企業挑戦支援法(203~08年の時限立法)
  • 新たに成立した会社法(2005年成立)

など。

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労働問題の発生

資本主義経済が成立したころには、資本家はより安く商品を売って、より多くの利潤を上げようとしていた。

そのために、

  • 低賃金長時間労働
  • 労働災害
  • 児童労働

などの労働問題が発生していた。これに対して産業革命を最初に達成したイギリスでは、19世紀初めに、工場労働者が各地で自然発生的に機械打ち壊し運動 (ラダイト運動)をしたり、暴動をおこしたりした。やがて、労働者が組織をつくり団結して資本家と対峙するようになると、 労働組合法などが制定され、団結権も法的に認められるようになった。

労働組合の組織

労働組合の組織は拡大し、全国的な組織がつくられるようになった。労働組合の結成が進み、社会主義運動と関係が深まると、インターナショナルという国際的な連帯組織が結成された。

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日本の労働運動

日本でも産業革命とともに、低賃金・長時間労働などの労働問題がおこり、

  • 1897年…労働組合期成会が結成
  • 大正期…友愛会などの労働者組織が結成(労働争議が各地でおこり、ストライキなどが実行)

こうした動きは治安警察法(1900年)や治安維持法(1925年)によって弾圧された。

労働組合

労働組合は、

  • 全国労働組合総連合(全労連)
  • 全国労働組合連絡協議会(全労協)

を組織している。

<昨今の状況>
最近、労働組合の組織率は年々低下しており、労働者の5人に1人の割合で組織されている程度である。それは若年層の組合離れ、組織化がむずかしいサービス産業に従事する労働者や非正規社員のパートタイマー、派遣社員などの増加が原因といわれている。

労働基本権

私たちが生活する家計は、働いて得た所得をもとにして営まれているので、働く場を国が保障することは、人びとの生活を 安定させるために重要なことである。

<対策>
憲法では「すべて国民は、 勤労の権利を有し、義務を負ふ」と勤労権を保障しており、政府は公共職業安定所(ハローワーク)で職業紹介をしたり、職業訓練所で技能訓練をするなど、勤労の機会を確保できるようにしている。

労働三法

賃金、就業時間休息その他の勤労条件に関しては労働基準法が定められ、労働条件を「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもの」としている。さらに全国に労働基準監督署をおいて、労働基準法が各事業所で守られているかを監視して、違反を取り締まっている。

また、労働者一人ひとりでは立場が弱いため、労働者が使用者と対等に交渉できるよう、労働組合を組織する権利団体交渉をする権利団体行動をする権利を憲法で保障している。

労働三権とよばれ、

  • 労働基準法
  • 労働組合法
  • 労働関係調整法

で細かに規定されている。

女性の社会進出

今日、女性の高学歴化とともに、女性に対する社会の意識がかわり、産業構造の変化によるサービス部門が増加したことを背景に、女性の職場進出にはめざましいものがある。

一方で、時間外勤務や深夜労働・休日労働における 女性保護規定が撤廃された。 女性の就業には零細なサービス業のパートタイマーが多かったり、男性との賃金格差や管理職につく割合が低いなどの課題も残されている。

労働者の高齢化

生産労働人口グラフ
高齢化の進行にともない、年金が支払われるまでの高齢者が働く場の確保。 政府は、1998年から定年を60歳以上にすることを義務づけるとともに、再任用制度の導入を推進したり、「65歳まで現役である社会」をめざして定年の65歳延長を推進している。

若者の労働市場

若年層を中心にフリーターやニートが増加したり、職場への定着率が低いことも問題となっている。

  • 1993年に短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律が制定され、雇用管理の改善がはかられた。
  • 1985年に労働者派遣法が成立して、派遣労働は労働基準法6条により禁止されていたが、派遣元・派遣先・労働者にも利点があるとして通訳、アナウンサーなど専門職について派遣労働が認められた。
  • 1999年には労働者派遣法が改正され、ほとんどすべての業種について派遣労働が許されるようになった

「派遣切り」が社会問題化し、見直しがはかられている。その他、日本は出入国及び難民認定法により、単純労働への外国人の就労を禁止している。働く場を求めて不法入国や不法就労する外国人労働者も多い。劣悪な労働条件 や賃金の中間搾取、パスポートをとりあげての強制労働、労災補償を実質的に受けられないなどの問題が生じている。

新たな労働問題

  • 時間外手当も支払われないサービス残業
  • 長時間労働による肉体的・精神的疲労からの過労死

などの問題が残されている。

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家計

家計の収入と支出フロー図

家計の収入

家計の収入には、

  • 労働によって得た賃金や個人の事業の収入などの勤労所得
  • 財産の運用によって得た財産所得
  • 高齢者の収入の大きな部分を占める年金
  • 失業したときに支給される失業保険給付などの移転所得

があります。

財産所得には、預貯金からの利子、株式からの配当、家や部屋を貸して得る家賃、土地を貸して得る地代などがある。

可処分所得

家計が、実際に使い道を自由に決められるお金は、所得から税金や社会保険料を差し引いた残りの部分で、これを可処分所得という。また、可処分所得に占める消費の割合を消費性向といい、貯蓄の占める割合を貯蓄性向という。

貯蓄性向

日本の貯蓄性向は病気や教育・老後に備えての貯蓄が多く、諸外国とくらべて高かった。こうした貯蓄は銀行預金などの貯金となり、企業へ融資されて設備投資の資金や財政投融資の原資となり、公共事業の資金などに活用された。

日本の貯蓄性向は、景気後退による家計所得の伸び悩みや、貯蓄を取り崩して生活費にあてる高齢者所帯の増加により、2007年には貯蓄率は33%に低下し、2000年以降はドイツやフランスを下回っている。 一般的に、経済が発展して所得が多くなると、消費支出に占める食料費の割合であらわされるエンゲル係数が小さくなって、 教育・教養・娯楽関係の支出の割合が大きくなり、消費の多様化・高級化が進む傾向がある。

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消費と国民経済

現在、日本の国民総支出の50%近くを民間消費支出が占め、家計の消費動向が国民経済に大きな影響を与えるようになっている。消費は、高度経済成長期にみられたように、好況で所得は国民経済が多くなると増加し、それがさらに好況を拡大する。

逆に不況や景気の先行きが不透明なときは、消費が落ち込み、不況からの回復が遅れる。また、景気の過熱や石油危機などによって、物価が上昇すると、賃金の上昇はそれより遅れる傾向があるため、実質所得が一時的に減少し、消費は落ち込む。

消費の増加

  • バブル経済期のように、株や土地の価格上昇によって人びと の資産の価値が上がると、消費が増加(資産効果)
  • 外国為替相場の円高が進むと輸入品の価格が下がり、 海外の有名ブランド品やアジアNIES製品の消費が増加する傾向
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消費者問題

  1. 安全性の問題…商品の構造の欠陥から消費者に被害を与える欠陥商品、有毒物質の混入や有害な食品添加物の使用による食品公害、医薬品の副作用や製造上の欠陥による薬害などの商品の安全性の問題
  2. 悪質商法…消費者が本当は買うつもりがないのに、言葉巧みにだまして価値のないものや不要なものを購入させる商法。消費者の自由な商品選択をさまたげる誇大広告や不当表示
  3. 価格の操作・管理の問題…再販売価格維持制度、価格カルテルなどによる
  4. 多重債務や自己破産…クレジットカードや消費者金融による

など。

消費者保護と消費者の権利

1962年、アメリカ合衆国のケネディ大統領は、特別教書で消費者の4つの権利として、

  1. 安全を求める権利
  2. 知らされる権利
  3. 選択できる権利
  4. 意見を反映させる権利

を示し、その後の世界の消費者保護に大きな影響を与えた。

説明責任(アカウンタビリティ)

商品を提供する企業に対しては、安全な商品を提供する責任と、商品に対する公正な説明責任(アカウンタビリティ)が要求されている。

賢い消費

インターネットの普及とともに、利用していないのに料金を請求される架空請求の苦情なども急増しており、消費者は新しい事態への対応もしなければならなくなっている。

環境にやさしい生活をめざすグリーンコンシューマとして、 消費生活のあり方も問われており、エコマーク入りの商品を購 入するなどの取組みが求められている。 生活の利便性・快適性だけを求めた従来の生活スタイルを見直し、消費生活のなかで、無駄に消費されるものについても考え直すことが必要である。

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日本の社会保障制度

日本でも第二次世界大戦後、憲法第25条で生存権が保障され、

  • 社会保険
  • 公的扶助
  • 社会福祉
  • 公衆衛生

の4つを柱とした社会保障制度が整備された。

社会保険

病気・けが・老齢・失業・労働災害などによる生活不安に対して、現金や医療サービスを給付する制度で、現在の日本の社会保障制度の中心になっている。

  • 社会保険の種類…医療・年金・雇用・労働者災害補償・介護の5つの種類があり、おもに被保険者と事業主の保険料と国や地方公共団体の拠出金で運営されている。

公的扶助

貧困で生活が困難な人びとに最低限度の生活を保障し、自立を助長するもので、生活保護法(1946年制定)に基づいて生活・教育・住宅・医療・出産・生業・葬祭・介護の8種の扶助が実施されている。

社会福祉

児童や高齢者・心身障害者など社会的に弱い立場にある人びとに、国が施設やリハビリテーション、在宅ケアなどのサービスを提供する制度である。

公衆衛生

保健所や公立病院による感染症や食中毒の予防と治療、地方公共団体による清掃や上下水道の整備を通じて国民の健康増進および生活環境の整備をはかる制度である。

医療保険

  • 民間企業の雇用者を対象とする健康保険
  • 公務員などを加入者とする共済組合
  • 農家や自営業者その他の一 般の国民のための国民健康保険

がある。

1958年の国民健康保険法の改正で、誰もがどれかの医療保険に加入する国民皆保険の体制が1961年から整えられた。

年金保険

年金保険においても、1959年の国民年金法の制定により、すべての国民が加入する国民皆年金の制度が1961年に実現した。1986年からは、全国民に共通の基礎年金として新しい国民年金がスタートした。そして民間企業で働く人や公務員などには、これに上乗せして報酬比例年金 (厚生年金や共済年金)がある。

すべての国民が公的年金制度と医療保険制度に加入する国民皆保険・皆年金の制度が1961年から実現された。

保険制度の問題点

自営業者は国民健康保険、民間企業雇用者は健康保険、公務員は共済組合に加入するなど制度が複雑であることや国民年金しか給付されない自営業者と厚生年金が上乗せされる民間企業雇用者との間で給付に格差があることなどの問題が指摘されている

地方自治体ごとで介護サービスに差がある。高齢化にともなって財政難から保険料負担がしだいに重くなるなどの問題も出ている。

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経済のソフト化

コンピュータを利用したインターネットの普及でIT革命が進展したことにより、時間的・空間的な距離が縮まり、経済の面でも大きな変化が生まれている。企業では、製品をホームページにのせて宣伝や販売をしたり、企業内のパソコンを結びつけて会議を減らしたり、事務処理や意思決定、消費者の苦情への対応のスピードアップ化をはかって、ビジネスチャンスを逃さないように努力している。

知的財産権(知的所有権)

知識集約型産業の発達にともなって、特許権や著作権、ブランドなどの知的財産権(知的所有権)の価値が高まり、それらを利用して収益をあげる動きもある。

POS(販売時点情報管理)システム

商業分野では、POS(販売時点情報管理)システムの導入により在庫管理が合理化された。

その一方で従来の食料品店や洋品店、雑貨店といった小売店は減少している。銀行のキャッシュカードコーナーが夜間も営業するようになったり、コンビニでお金の振込みができるようになったり、カードや携帯電話を利用した決済も増えてきている。

製造業部門では、アジアNIESや中国からの安価な製品の輸入が増加し、製造部門が海外に移転した結果、国内では知識集約型製品の生産や研究開発部門の比重が上昇するなど、経済のソフト化が進んでいる。

IT革命(社会の情報化)

家庭でもインターネットや携帯電話が普及し、電子商取引やインターネットを利用して、直接海外に商品を発注することもできるようになった。銀行や証券会社でもインターネットを通じてサービスを利用することが増えている。

最近進みつつある経済のサービス化・ソフト化には、コンピュータの発達に基づくIT革命(社会の情報化)が 大きな影響を与えている。

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国民所得

国民所得一覧表
今日、政府の経済政策の大きな目標とされる国民の福祉を実現するためには、経済成長と景気や物価の安定が必要である。経済成長や景気変動、物価など、経済のファンダメンタルズ (基礎的条件)の状況を示す指標には、国民総生産(GNP)や国民所得、 鉱工業生産指数、失業率、物価指数などがある。

国民総生産(GNP)

gnp模式図
国民総生産(GNP)とは、国民が1年間に新たに生産したモノやサービスの付加価値の合計額のことで、国民経済の大きさ の指標として用いられてきた。国民総生産から工場や機械などの固定資本減耗分(減価償却費)を差し引いたものを、国民純生産(NNP)という。減価償却費は、生産のために使用された 工場・機械などが年々古くなったり、傷んだりしていくのを新しいものに切り替えるための費用のことである。国民所得 (NI)は、国民純生産から間接税を引き、補助金を加えて求められる。

国民総生産では、海外にある日本企業が生産した価値の額は計算に入れられているが、日本国内にある外国企業が生産した価値の額は入れられてはいない。

国内総生産(GDP)

GDP模式図
経済の国際化が進展してきた今日では、国民総生産から海外からの純所得(外国からの所得の受取-外国に対する所得の支払)を差し引いた国内総生産(GDP)が、新たな経済活動の指標として使用されるようになっている。

国民総生産・国内総生産は、生産・分配・支出の3つの国民 所得面からとらえられ、それぞれの総額は等しくなる(国民所得の三面等価)。生産国民所得は、第一次産業・第二次産業・ 第三次産業に分かれ、その構成からその国の産業構造の発展段階などを知ることができる。

分配国民所得と支出国民所得

日本は、今日では第三次産業の割合が70%を超え、経済のサービス化が進展している。

  • 分配国民所得は、賃金などの雇用者所得や利潤などの企業 所得、利子や地代などの財産所得から構成され、雇用者所得が60%を超えている。
  • 支出国民所得は、家計の消費支出などの民 間最終消費支出、政府最終消費支出、企業の設備投資や政府の公共投資などの国内総資本形成、経常海外余剰からなるが、民間最終消費支出が55%を超えており、景気の動きに家計の消費支出の動向が大きな影響を与えている。

GDPの指標の課題

GDPは市場で取引された財やサービスを合計したもので、公害を発生させる産業活動や環境破壊をもたらす開発、人の健康をむしばむ病気治療のための医療費、家庭での生活時間を犠牲にした長時間労働や長時間通勤など、国民の福祉にはマイナスであることでも、計算には含まれてしまっている。

国民純福祉(NNW)とグリーンGDP

家庭生活に欠かせない家事労働や、お金を使わないが人びとの生活に潤いを与える公園の散策、無償のボランティア活動などはGDPの計算に入っていない。 そこで、新たな観点から国民の福祉水準をはかる指標として、 環境汚染や都市化による損失、家事労働や余暇時間なども数量化して計算した国民純福祉(NNW)やGDPから環境悪化を 防ぐための経済活動費用を差し引いたグリーンGDPなどの指標も取り入れられるようになっている。

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インフレとデフレの定義

インフレとデフレの図

  • インフレーション(インフレ)…物価水準が持続的に上昇(価格上昇=商品が高くなる)する状態
  • デフレーション(デフレ)…物価水準が持続的に下落する状態

インフレの原因

インフレの大前提は、国内の通貨量が増えるということです。つまり、マネー・サプライ(通貨供給量)が増加するということです。これが原因でインフレが起こります。

インフレのメカニズム

マネー・サプライ(通貨供給量)が増加する→通貨価値が下がる→商品が値上がりする。お金が増えたことによって、希少性が失われ、価値が下がり、同じものを買うときにも、たくさんのお金が必要になります。結果的に、物価が上がっているということです。

インフレの対策

原因を排除することになりますから、マネー・サプライ(通貨供給量)を減らすことになります。

  • 通貨を刷ることをやめる
  • 金融引き締め…銀行がお金を貸すのをやめる(貸出抑制)・貸出金利の引き上げ
  • 財政政策…増税をする
  • 輸入促進…海外に対して支払いをするので、国内の通貨量が減る。
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インフレの影響

論理的には、「不平等な所得分配が実現されます」。持てる者が有利になり、持たざる者が不利になります。たとえば、持てる者(資産家)は、土地や株、金、絵画などの資産をもっているわけですが、インフレ状況下においては、モノが値上がりしているので、所有しているだけでその価値は上がっていることになります。

一方で、持たざる者(サラリーマンなど)は、インフレでは、通貨価値が下がっているわけですから、月給や貯金の価値は下がっています。購買力が減るということを意味します。たとえば、月給50万円をもらっていても、インフレで物価が2倍になっていれば、50万円は、その半分の25万円ということになります。これまでの半分しかモノが買えなくなっている状況です。

インフレの状況下では、お金で生活をしている人は苦しく、資産(土地、株など)を持っている人は儲かるという不平等な事態が起こります。

債務者利得・債権者損失

インフレになると通貨価値の下落により、借金の価値も低下します。これが、債務者利得です。債務者というのは、借金を抱えた返す義務のある人のことです。お金を借りた人が有利になります。これは、同時に債権者損失が発生することを意味します。債権者とは、お金を貸した人のことです。貸した人は、資金の価値が減ってしまって不利だということです。

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インフレの程度による分類

インフレの程度による分類は、

  • ハイパー・インフレ…超インフレ
  • ギャロッピング・インフレ…かけ足のインフレ
  • グリーピング・インフレ…しのびよるインフレ

と3つに分類できます。

ハイパー・インフレ

ハイパー・インフレとは、短期間に物価が急激に上昇する「超インフレ」のことの状態をいいます。日本では、第二次世界大戦後に、このインフレが起こりました。このときは、年率100%を超えていました。その後も、経済復興のために復興金融公庫などが資金を大量に供給して、激しいインフレが続きました。このことを復金インフレといいます。

ギャロッピング・インフレ

ギャロッピング・インフレとは、かけ足のインフレという状態で、物価上昇率が10~数10%のインフレです。オイル・ショック後の狂乱物価などがそれにあたります。オイル・ショックとは、1973年に起こった石油危機が発端。

グリーピング・インフレ

グリーピング・インフレとは、しのびよるインフレという意味です。高度経済成長期の消費者物価の上昇のように、じりじりと物価が上がっていきます。高度経済成長期は、1961年以降、年率で平均5~6%の上昇が続きました。おもに、中小企業製品や農産物、サービスの価格が上昇したため、生産性格差インフレともいわれます。

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インフレの原因による分類

インフレの原因による分類は、

  • 需要インフレ(ディマンド・プル・インフレ)
  • 費用インフレ(コスト・プッシュ・インフレ)

の2つに分類できます。

需要インフレ

需要インフレ(ディマンド・プル・インフレ)は、需要が供給を上回る超過需要によって起こります。たとえば、所得が増えることで、消費が拡大する消費インフレや赤字公債の発行などによる財政支出の拡大によって超過需要が起こる財政インフレ、銀行の貸し出しが増加することによって超過需要が起こる信用インフレがあります。

また、輸出が増えることによっておこる輸出インフレも需要インフレの1つです。

費用インフレ

費用インフレ(コスト・プッシュ・インフレ)は、供給側の原因で発生する物価上昇です。たとえば、原材料、特に輸入原材料が値上がりすると、それを原料としている商品は値上がります。オイル・ショック後のインフレは、費用インフレ(コスト・プッシュ・インフレ)の典型です。これを輸入インフレといいます。

また、大企業の管理価格の設定によって生じる管理価格インフレ(マーク・アップ・インフレ)、前述した生産性格差インフレも費用インフレの1つです。

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通貨制度

管理通貨制度と金本位制の違い図解
物価の安定や景気の調整をはかりやすくするためには、通貨当局(政府および中央銀行)が国内流通通貨量を、政策的、裁量的に自由に決定できる制度が必要です。つまり、マネー・サプライ(通貨供給量)を管理することが、今日の金融政策の中心となっています。このように、自由に通貨量を調節できる制度を管理通貨制といいます。

管理通貨制の歴史

管理通貨制は、1930年代の世界大不況の中で、世界各国で採用され、現在もこの制度がとられています。

それ以前は、日本では、1897年~1930年代までは金本位制でした。(一度、1917年に廃止して、1930年に復活させて、再び1931年に禁止しています。)金本位制では、金と通貨の交換比率を決めて、政府が保有する金の量によって通貨発行量を決めていました。ですから、日本政府が保有する金に拘束されて通貨を発行していたということになります。

金の量は、それほどまでに変化(いちいち金鉱を掘らないといけない)しませんから安定的です。金の量が安定すれば、通貨量も安定する。つまり、物価も景気も安定するので、金本位制を採用したことになります。

金本位制の長所・短所

金本位制では、普遍的な価値を持つ金を尺度にして、自国商品の価値を外国に示すことができます。価値が明示できること、これこそが貿易拡大の条件となります。しかしながら、世界大不況となり、この金本位制の維持が難しくなります。それは。大不況克服が最優先の中、通貨を増発する必要性があり、世界各国は、管理通貨制に移行したということです。

<金本位制の長所と短所>

  • 長所…自国商品の価値を金を尺度に明示できる。通貨量が安定し、物価・景気が安定。
  • 短所…通貨量調節ができず、物価・景気が調整しにくい。

管理通貨制の長所・短所

物価・景気調整がしやすいことになります。大不況対策として、通貨増発によって有効需要を高める必要があるときに、この有効需要管理を実践できることが前提的な通貨制度となっています。

  • 長所…景気・物価調整のための柔軟な通貨量調節ができます。
  • 短所…通貨増発によりインフレになりやすい。
  • 有効需要…購買力を伴った需要のこと。ケインズは、世界大不況対策として公共投資や完全雇用政策を行い、失業者に所得を与えて購買力を付与することが必要だとする有効需要論を整えました。
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地球環境問題

環境問題は、日本だけの問題ではなく、地球全体の問題になっている。

▼原因
石油や石炭などの化石燃料の使用によって排出される二酸化炭素(CO)が増加し、地球的な規模の気温上昇

そのため海面が上昇して水没する地域が生まれたり、巨大ハリケーンなどの異常気象が生じたり、地域によっては砂漠化を促進したりしている。気象の変化が地域の植生を変え、生態系全体の変化をもたらしている。

酸性雨

工場や自動車から排出される窒素酸化物や硫黄酸化物が大気中に溶け込んで、酸性雨や酸性霧が発生している。ヨーロッパ中部や北部、北米の五大湖地方、中国の東 北地方では、酸性雨が一因となって森林が枯れたり、コンクリートの建物が傷んだりしている。

オゾン層破壊

極地方上空のオゾン層が、クーラーや冷蔵庫の冷 媒に使用されたフロンガスによって破壊され、オゾンホールが現われるというオゾン層破壊の問題もある。このため、有害な紫外線が増え、それが皮膚ガンを発生させ、農作物の収量を減 少させることも心配されている。

その他の問題

  • 砂漠化
  • 土壌流失
  • 熱帯林の消失
  • 海洋汚染
  • 有害廃棄物の越境移動
  • 農薬による環境汚染
  • 野生生物種の絶滅

などがある。

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国際的な取り組み

  • ワシントン条約…絶滅のおそれのある野生生物の輸出入を規制する条約
  • セリーズ(バルディーズ)の原則…タンカー事故などによる海洋汚染には民間業が環境保全に責任を持つという原則
  • バーゼル条約…有害廃棄物の輸出入を禁止した条約

など。

ラムサール条約

ラムサール条約は、水鳥の生息地である湿地を保護するための条約であるが、日本でも釧路湿原などが登録された。世界文化遺産や自然遺産を保護するために、1972年に世界遺産条約がユネスコ総会で採択され、日本の自然遺産では、屋久島の縄文杉や白神山地のブナ林・知床などが登録されている。

公害対策基本法

多発する産業公害に対応するため、1967年に公害対策基本法が成立し、公害防止に対する事業者・国および地方公共団体の責務が明らかにされた。

環境省

1971年には、公害防止や環境保全の施策を推進するために、環境庁(2001年から環境省)が設置された。さらに、公害を発生させた企業が公害防止費用や被害の補償をすべきという汚染者負担の原則(PPP)や、公害発生者に過失がなくても被害者に対して損害賠償責任を負わせる無過失責任制が確立した。

持続的発展が可能な社会

これまでの生活の豊かさや便利さのみを追求した大量消費・大量廃棄型社会から、有限な資源を浪費しない資源循環型社会への転換が必要

環境を積極的に保全しようとする。市民の活動もみられる。不必要な土地開発や無秩序な宅地開発をやめて、自然環境を守ろうとする市民の寄付を元手に、土地を購入したり管理するナショナルトラストがつくられ、市民の要求によって地方公共団体が景観地の保有にのり出している。

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南北問題

第二次世界大戦後、アジア・アフリカなどで植民地支配から 独立する国々があいついだ。これらの国々は地球の南半球に多い。政治的に独立しても、国内には食糧や日用品など、国民の最低限の需要をまかなう産業が未発達であった。しかも、輸出農産物価格は低くおさえられ、先進工業国との経済格差が固定化した。

このような、南にある発展途上国と北にある先進工業国との経済格差による諸問題を南北問題という。

南南問題

発展途上国間でも、産油国や新興工業経済地域 (NIES)とよばれる工業化に成功した国や地域を除いては、 順調な経済発展は実現できていない。とくに後発発展途上国 (LDC)とよばれる飢餓や貧困に苦しむ国は、政治的にも不安定になりやすく、その結果、国民の人権保障が実現されにくくなり、国際社会の不安定要因となっている。

このような、産油国やNIES諸国と後発発展途上国との発展途上国間での経済格差による諸問題を、南南問題という。

  • 後発発展途上国 (LDC)…2003年に国連で改訂された基準によると1人あたりの年間所得が750ドル未満で、識字率や工業化率の低い国をさしている。
  • 最貧国(MSAC)…2005年2月現在、開発援助委員会は、アフリカ34カ国、アジア10カ国を含む合計50カ国を認定している。
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南北問題への対策

南北問題を解決するため、国連は1964年に国連貿易開発会議 (UNCTAD)を開催した。これは、発展途上国の要求により、国連でつくられた組織で、南北問題を討議し、貿易・経済援助・経済開発について、先進国と発展途上国間の交渉をおこなっている。

プレビッシュ報告

事務局長の出したプレビッシュ報告は、南北問題を解決するために新たな国際経済の秩序を求めた。それは、GATTによる貿易秩序を発展途上国に有利なようにすべきだとして、一般特恵(とっけい)関税の導入や国際収支を改善するための融資やGNP比1%の経済援助などを求めるものであった。 国連貿易開発会議(UNCTAD)では、発展途上国が77カ国グループ(G77)として結束して行動した。

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