【高校・政治経済】日本の公害問題についてまとめています。
公害問題の発生
日本は、欧米先進国に「追いつき、追い越せ」を合言葉に、経済成長を最優先にしてきた。そして、事業活動にともなう産業公害が大きな問題となった。
足尾銅山鉱毒事件
明治期の後半には、日本の「公害の原点」といわれる足尾銅山鉱毒事件がおこった。足尾銅山の鉱毒により、渡良瀬川流域の農漁業に大きな被害をもたらした事件で、衆議院議員の田中正造が、帝国議会で企業の責任を厳しく追及した。
四大公害事件
第二次世界大戦後の高度経済成長期には、
- 熊本水俣病…工場が排出した有機水銀が魚などに蓄積され、それを食べた人の中枢神経がおかされる病
- 新潟水俣病…新潟県の阿賀野川流域で発生した病
- イタイイタイ病…鉱山から流れ出たカドミウムにより、骨がもろくなり骨折しやすくなるという富山県神通川流域で発生した病
- 四日市ぜんそく…三重県四日市市で発生した。コンビナートの工場群から排出された硫黄酸化物によるぜんそく
の四大公害事件が発生し、大きな社会問題となった。これら四大公害事件は、いずれも裁判で加害者側の企業の責任が明らかにされ、被害者側に損害賠償金が支払われた。
現代の公害問題
最近は、従来の産業公害にかわって
- 自動車の排気ガスによる大気汚染
- 家庭排水による湖沼・湾の富栄養化と水質汚濁
- 産業廃棄物や一般廃棄物の急増によるゴミ問題
- ヒートアイランド現象など新しいタイプの都市型公害・生活型公害
が問題となっている。これらの公害は、加害者が特定しにくかったり、公害を発生させる加害者が立場がかわると被害者になるなど複雑な性格を持っている。
新たな公害
科学技術の発展による新たな公害も大きな問題となっている。
たとえば、廃棄物を焼却するときの不完全燃焼や低温度燃焼により発生するダイオキシンには、強い発ガン性があり、これを吸った女性が障害児を出産するおそれがあるといわれている。
ゴルフ場での除草などに使用されている農薬による 土壌や水質の汚染、ハイテク工場でIC(集積回路)の洗浄に使われる発ガン性の強いトリクロロエチレンによる地下水の汚染も問題となっている。
さらに生物の生殖機能に対する影響のおそれがあるとされる環境ホルモンが、全国の多くの河川や地下水などから検出されている。環境ホルモンは、内分泌かく乱物質とよばれ、生物のホルモンの働きをかく乱し、生殖機能の異常などを引きおこす可能性がある。
大都市の産業廃棄物や建設廃棄物を過疎地の島に運び込んだり、家電リサイクル法の施行(2001年)により洗濯機や冷蔵庫の廃棄が有料化されたため農道や山林へ耐久消費財を不法投棄が増えたり、医療廃棄物を発展途上国にリサイクル品として輸出しようとするなど、豊かな生活を享受している者のあり方やその責任が問われるような事件も発生している。
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