為替相場は、国際経済における重要な要素であり、各国の通貨の交換比率を決定します。この相場は、輸出入、投資、旅行など、私たちの日常生活にも多大な影響を与えています。為替相場の変動は、経済政策や世界情勢によって影響を受けるため、理解しておくことが重要です。本記事では、為替相場の基本的な仕組みや、その影響を解説し、どのようにして為替相場が経済全体に作用するのかを詳しく探ります。
外国為替相場のしくみ
遠隔地との取引では、現金を移動せずに為替を使って送金がおこなわれる。通貨の異なる外国との貿易は、外国為替手形で決済される。このとき、自国通貨と他国通貨の交換が必要になるが、この交換比率のことを外国為替相場あるいは為替レートといい、外貨の取引がおこなわれる場を外国為替市場とよぶ。
為替相場の経済への影響
為替相場とは、異なる国の通貨が交換される比率のことです。例えば、1米ドルがいくらの日本円で交換できるかというものです。この為替相場が経済に与える影響はとても大きいので、しっかり理解しておくことが重要です。
1. 輸出入に与える影響
為替相場の変動は、輸出と輸入の価格に直接影響します。例えば、日本円がドルに対して強くなると、1ドルで買える日本円が増えます。この場合、外国の商品を輸入する際には安くなるため、輸入が増える可能性があります。しかし、逆に日本の製品が海外で高くなり、輸出が減ることもあります。
逆に、円安(円の価値が下がる状態)になると、日本の製品が海外で安くなり、輸出が増えやすくなります。反面、外国から輸入する商品の価格が高くなり、消費者にとっては負担が増すことになります。
2. 企業の利益に与える影響
為替相場は、企業の利益にも大きな影響を与えます。輸出を多く行う企業は、円安のときに利益を得やすくなります。なぜなら、円安になると海外で得た収益を円に換算する際に、より多くの円が手に入るからです。しかし、輸入を多く行う企業は、円安になると商品や原材料のコストが上がり、利益が減少することがあります。
3. インフレや物価に与える影響
為替相場が変動すると、物価にも影響を与えます。特に、円安になると、外国から輸入する商品の価格が上がり、国内での商品価格も上昇することがあります。これを「輸入インフレ」と呼びます。逆に、円高になると輸入品が安くなり、物価が下がる可能性があります。
4. 投資に与える影響
為替相場は、外国の株式や債券に投資する際にも影響を与えます。例えば、円安になると、日本から外国の資産に投資したときに、円に戻した際に利益を得やすくなります。逆に、円高になると、外国の資産に投資しても利益が減る可能性があります。
基軸通貨
通常は、国際的な基軸通貨であるアメリカ合衆国のドルに対して、「1ドル = 100円」のように示される。基軸通貨とは国際間の決済や金融取引に多く使用される通貨のことで、経済力が強く、国際的に最も信頼されている国の通貨が使われるのが通例である。
日本の外国為替相場
固定為替相場制と変動為替相場制の違いや、円高・円安の影響についてみていきます。
固定為替相場制
日本の外国為替相場は、第二次世界大戦後の四半世紀にわたって1ドル=360円に固定されていた。これを固定為替相場制という。しかし、アメリカの国際収支の悪化からドル危機がおこり、1973年から変動為替相場制へ移行し、今日に至っている。
変動為替相場制
変動為替相場制では、外国為替市場で外貨に対する需要と 供給によって為替レートが決まる。
- 円よりドルへの需要が多ければ、円安・ドル高
- ドルより円への需要が多ければ、円高・ドル安
国際収支の変動
<円高・ドル安>
日本の輸出額が増え、経常収支の黒字が続き、外貨準備高が多くなれば、日本の通貨「円」に対する信頼が高まり、為替相場は円高・ドル安になる。
- 円高になれば、外国でドルを使用して購入する日本製品のドル建て価格は高くなる
↓ - 日本の輸出品への需要は減少する
↓ - さらに、円高はドル建てで購入する輸入品の価格を安くし、輸入量を増やす結果を招き外貨が多く流出する。
↓ - その結果、貿易収支の黒字幅は縮小する。
<円安・ドル高>
- 輸出が好調になり輸入が減少
↓ - 貿易収支は黒字に向かう。
このように、為替相場が変化する ことによって、各国の経常収支は調整される。
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