資産バリュー株とは、企業の保有資産や財務体質に比べて株価が割安に放置されている銘柄を指します。日本市場では、解散価値に近い水準で取引される企業や、不動産・有価証券などの資産を多く抱える企業が数多く存在します。近年は株主還元強化やガバナンス改善の流れを背景に、こうした資産バリュー株に再び注目が集まっています。本記事では、現時点で投資家から注目される日本国内の資産バリュー株を取り上げ、投資戦略のポイントを解説します。
資産バリュー株とは?特徴と注目される理由

資産バリュー株とは、企業の保有資産や財務基盤に比べて株価が割安に放置されている銘柄を指す。一般的には、株価純資産倍率(PBR)が1倍を下回る企業や、多額の不動産・有価証券を保有しているものの株価に十分反映されていない企業が該当する。こうした銘柄は、仮に事業収益が伸び悩んでいても、資産価値を考慮すれば「解散価値より安く買える」と評価される場合が多い。
近年、日本市場で資産バリュー株が注目される背景には、東京証券取引所が上場企業に対して資本効率の改善を求めていることがある。PBR1倍割れの企業には、経営改革や株主還元の強化が求められており、実際に自社株買いや増配を行う企業も増えている。その結果、これまで低迷していた株価が再評価される動きが広がっている。資産バリュー株投資は、安定した資産を背景に中長期での株価上昇と配当収益を狙える戦略として有効である。
三井不動産(8801)

日本を代表する総合デベロッパーで、オフィスビルや商業施設、住宅開発など幅広い不動産事業を展開。保有資産の規模は国内トップクラスであり、株価純資産倍率(PBR)は依然として1倍を下回る水準にある。政府や取引所が求める「資本効率改善」の流れを受け、自己株買いや配当性向の引き上げが進めば評価見直し余地は大きい。不動産市況が堅調に推移している点も安心材料であり、長期的な資産バリュー株投資として注目できる。
・都心一等地の大型優良不動産を多数保有
・賃貸事業による安定したキャッシュフロー
・三井ブランドによる高い信用力
・再開発事業での含み益拡大ポテンシャル
東京建物(8804)

三菱地所や三井不動産に比べると規模は小さいが、歴史ある不動産デベロッパーでオフィスやマンション開発を手掛ける。特に首都圏の優良物件を多く抱えており、保有不動産の含み益が大きい。PBRは0.6倍前後と割安で、資産価値に比して株価が低く評価されている。株主還元姿勢も強化されつつあり、不動産市況の底堅さが続く限り、バリュー株としての妙味は大きい。地味ながら安定性と資産価値を重視する投資家には魅力的。
・長期保有による都心優良立地の資産蓄積
・歴史ある安田系ブランドの信頼性
・不動産証券化の先駆的実績
・みずほ系列による安定した資金調達力
三井物産(8031)

五大商社の一角で、資源・エネルギーから食品、機械、インフラまで幅広い事業ポートフォリオを持つ。資源価格の変動に業績が左右される面はあるものの、豊富な投資先と配当余力により安定したキャッシュフローを生む。PBRは依然として低水準にあり、資産バリュー株の代表格といえる。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が投資を行ったことでも注目を集め、グローバルな成長戦略と資本効率改善の両面から株価上昇余地は大きい。
・世界規模での資源権益・インフラ資産
・多様な事業投資ポートフォリオ
・グローバルな取引ネットワーク価値
・長期投資による企業価値向上実績
住友商事(8053)

総合商社の中でも非資源分野の拡大に力を入れており、インフラや輸送機、生活関連事業が業績を支える。資源価格変動のリスクを分散できる点が特徴。PBRは1倍を下回っており、安定した配当利回りと自己株買いを組み合わせた株主還元が期待される。商社株全体が資産バリュー株として再評価される流れの中、住友商事も例外ではなく、中長期的に持ちやすい銘柄といえる。
・住友グループの強固な信用基盤
・資源・インフラ分野での優良資産
・長期投資による安定した収益構造
・グローバルな事業基盤の多角化
東京海上ホールディングス(8766)

国内大手損害保険グループで、海外事業の比率も高い。安定した収益力と堅固な財務基盤を持ちながら、依然としてPBRは1倍を割る水準にある。自然災害リスクや為替影響はあるものの、グローバル展開による分散効果で収益は安定的。株主還元姿勢も積極的であり、長期保有に適した資産バリュー株の一つ。堅実な業績と安定配当を好む投資家には魅力的といえる。
・巨額の有価証券投資ポートフォリオ
・保険事業による安定したフロート資金
・140年の歴史に基づくブランド価値
・グローバル展開での収益多様化
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)

日本最大のメガバンクで、国内外に広がる金融ネットワークを持つ。金利上昇局面では利ザヤ拡大による恩恵を受けやすく、収益改善が期待される。自己資本比率も高水準で健全性に優れ、PBRは依然として0.7倍前後と割安。安定配当と自社株買いにより株主還元力を高めており、バリュー株投資の代表例といえる。銀行株再評価の流れが続く中、長期投資での妙味は大きい。
・圧倒的規模の総資産・預金基盤
・三菱グループの強固な信用力
・多様な金融資産ポートフォリオ
・国際的な金融ネットワーク価値
みずほフィナンシャルグループ(8411)

三大メガバンクの一角で、法人取引や資本市場業務に強みを持つ。過去のシステムトラブルなどで評価が低かったが、ガバナンス改革を進めている。PBRは0.6倍前後と大幅な割安水準にあり、金融正常化による収益拡大が期待される。配当利回りも高水準で、安定的な株主還元が続く可能性が高い。リスク要因を織り込みつつも、資産バリュー株としての再評価余地は十分。
・大規模な貸出・預金資産
・法人金融での高いマーケットシェア
・芙蓉グループの企業ネットワーク
・多様な金融商品・サービス基盤
大和ハウス工業(1925)

住宅事業から商業施設、物流施設まで幅広く手掛ける建設大手。特に物流施設や賃貸住宅など、景気変動に強い分野で成長している。豊富な土地や建物資産を抱えつつ、株価は資産価値に比して低水準。PBRは1倍を割り込んでおり、含み益の大きさと安定配当が投資妙味を高めている。長期的に需要が堅調な住宅・物流市場を背景に、バリュー株として注目に値する。
・全国の開発用地・建設資産
・賃貸住宅事業の安定収益
・独自技術による競争優位性
・物流施設などの成長分野での強み
日本郵政(6178)

郵便・金融・物流を手掛ける巨大企業グループ。日本全国に広がる不動産や金融資産を保有し、その資産規模は国内有数である。株価は長らく低迷しているが、政府保有株の売却進展やガバナンス改革を通じて再評価される可能性がある。PBRは0.4倍程度と極めて割安水準にあり、安定的な配当を維持している点も魅力。政策的な動向に左右されやすいが、資産バリュー株の代表格として注目。
・全国に展開する不動産・設備資産
・ゆうちょ銀行の巨額運用資産
・郵便局ネットワークの独占的価値
・国民的ブランドの信頼性
東京電力ホールディングス(9501)

福島原発事故以降、厳しい経営環境に置かれてきたが、再建に向けた取り組みが進展。首都圏を中心に膨大な送配電インフラを抱えており、潜在的な資産価値は大きい。株価は依然として低水準にあり、PBRも割安。エネルギー価格動向や原子力再稼働の進展が株価に大きな影響を与えるためリスクはあるものの、長期的には資産再評価による上昇余地が期待できるバリュー株といえる。
・首都圏の大規模発電・送電設備
・関東地方での電力インフラ独占
・再生可能エネルギーの開発ポテンシャル
・電力自由化での競争力ある顧客基盤
まとめ:業界ごとに見る資産バリュー株の投資妙味
資産バリュー株は、不動産・商社・金融・保険・インフラといった幅広い業界に存在している。今回紹介した10社を業種ごとに整理すると、以下のような特徴が浮かび上がる。
まず、不動産関連では三井不動産や東京建物が代表例であり、保有物件の含み益とPBRの低さが評価される。商社株では三井物産や住友商事が挙げられ、資源から生活関連までの多角化と潤沢なキャッシュフローが魅力だ。金融業界では三菱UFJやみずほのメガバンクが依然としてPBR0.6〜0.7倍と割安で、東京海上のような保険株も安定した収益と配当が期待できる。さらに、大和ハウスや日本郵政は保有資産の規模が大きく、長期的な底堅さを持つ。インフラ系では東京電力が潜在的な資産価値を背景に再評価余地を秘めている。
総じて、資産バリュー株は「割安水準に放置された優良資産」を背景に、株主還元強化や市場環境の変化で株価見直しのチャンスがある。投資家にとっては、短期的な値動きよりも中長期的な資産価値の顕在化を狙う戦略が有効といえるだろう。
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