生成AIの普及、クラウドサービスの拡大、5G・次世代通信の本格化により、世界のデータ通信量は年々増加している。その中で、国際通信を支える基盤インフラとして注目を集めているのが「海底ケーブル」である。
日本は地理的特性から海底ケーブル敷設・保守の重要拠点であり、関連技術を持つ企業も多い。本記事では、海底ケーブル市場の成長背景を整理した上で、日本国内で注目される海底ケーブル関連銘柄10社を厳選して紹介する。中長期の投資テーマを探している方は、ぜひ参考にしてほしい。
なぜ今、海底ケーブル関連銘柄が注目されているのか

近年、海底ケーブル関連銘柄が投資家の間で注目を集めている背景には、データ通信需要の爆発的な拡大がある。生成AIの普及、クラウドサービスの高度化、動画配信やオンライン会議の常態化により、国境を越えたデータ通信量は年々増加している。こうした国際通信の約99%を支えているのが、人工衛星ではなく海底ケーブルである。
特に日本は、アジアと北米を結ぶ地理的要衝に位置しており、海底ケーブルの敷設・中継・保守において重要な役割を担ってきた。近年は老朽化した既存ケーブルの更新需要に加え、大容量・低遅延を実現する新規敷設プロジェクトも相次いでいる。
さらに、経済安全保障の観点からも海底ケーブルは戦略的インフラと位置づけられており、信頼性の高い日本企業への需要は今後も底堅いと見られる。こうした構造的な追い風を背景に、海底ケーブル関連の日本株は中長期の成長テーマとして再評価されつつあるのである。
NEC(6701)

NECは世界有数の海底ケーブルシステムインテグレーターであり、敷設から保守、通信装置まで一貫して手がける。アジア・太平洋地域を中心に多数の実績を持ち、国際通信網の中核を担う存在だ。近年はデータセンター需要や生成AI向け通信増加を背景に、海底ケーブルの新設・更新需要が拡大している。国家安全保障や経済安全保障の観点からも信頼性の高い国内企業への発注が増える可能性があり、中長期で安定した成長が期待できる。
世界市場シェア約25〜30%を誇り、世界トップ3サプライヤーの一角。累計40万km(地球10周分)の敷設実績を持つ。ルート設計から製造、敷設工事までトータルで提供できる世界でも数少ない企業。子会社OCCが海底ケーブルを、NECプラットフォームズが中継器を製造。海底ケーブル専用敷設船を長期チャーターし、アジア地域を中心に多くのプロジェクトを完遂。
古河電気工業(5801)

古河電工は光ファイバー・光ケーブル分野で世界トップクラスの技術力を持ち、海底ケーブル向け製品も展開している。通信インフラの高度化に伴い、大容量・低損失の光ケーブル需要が拡大している点は追い風だ。EVやエネルギー関連など事業の分散も進んでおり、海底ケーブル分野が再評価されれば収益構造の改善余地がある。インフラ更新需要を背景とした中期的な業績回復に注目したい。
世界市場シェア約25〜30%を誇り、世界トップ3サプライヤーの一角。累計40万km(地球10周分)の敷設実績を持つ。ルート設計から製造、敷設工事までトータルで提供できる世界でも数少ない企業。子会社OCCが海底ケーブルを、NECプラットフォームズが中継器を製造。海底ケーブル専用敷設船を長期チャーターし、アジア地域を中心に多くのプロジェクトを完遂。
住友電気工業(5802)

住友電工は光ファイバー、電力ケーブルの両分野で高い競争力を持ち、海底ケーブル関連でも重要な役割を果たす。通信向けだけでなく、再生可能エネルギーの海底送電ケーブル需要も拡大しており、複数の成長テーマを内包している点が魅力だ。グローバル展開力が強く、インフラ投資の長期トレンドを取り込めるポジションにある。安定性と成長性を兼ね備えたインフラ関連株として投資妙味がある。
世界最高電圧525kVの超高圧直流海底送電ケーブルを開発。海底向け光ファイバーでは米コーニング社と世界2強の体制。英国スコットランドに約700億円で海底ケーブル工場を建設(2026年完成予定)。660kmの洋上風力発電向けケーブルを受注し、欧州市場で存在感を拡大。
NTT(9432)

NTTは国際通信網の中核を担い、海底ケーブルへの出資や運用を通じてグローバルネットワークを構築している。IOWN構想など次世代通信基盤の実現には、高品質な国際回線が不可欠であり、海底ケーブルの重要性は今後さらに高まる。安定したキャッシュフローを持ちながら、通信インフラ高度化という成長テーマを内包している点が魅力で、長期視点でのインフラ投資先として注目できる。
子会社NTTワールドエンジニアリングマリン(NTT-WEマリン)が海底ケーブルの建設・保守を担当。累計5万1000km超の敷設実績。敷設船「SUBARU」を保有し、10年内に新型船建造を検討。日米間最大通信容量の海底ケーブル「JUNO」を三井物産、JA三井リースと共同で運営。経済安全保障の観点から国産体制の維持に注力。
KDDI(9433)

KDDIは国際通信強化のため海底ケーブル事業に積極的で、アジア・北米を結ぶ通信網の構築に関与している。5G・クラウド・生成AIの普及により、国際データ通信量は今後も増加が見込まれる。安定した国内通信収益を基盤に、成長分野へ投資できる点は強みだ。通信インフラの高度化が進む中、ディフェンシブ性と成長性を併せ持つ銘柄として評価余地がある。
子会社KDDIケーブルシップが1969年以来、半世紀以上にわたり海底ケーブル事業に貢献。3隻の専用敷設船を保有(日本企業で自前の専用船を持つのはKDDIとNTTのみ)。太平洋横断ケーブル「FASTER」など多数のプロジェクトを運営。海底ケーブルの敷設・保守・修理まで一貫対応。
ソフトバンクグループ(9984)

ソフトバンクグループは、データ通信量の爆発的増加を前提とした投資戦略を取っており、海底ケーブルを含む通信インフラの重要性は高い。傘下企業や提携を通じ、グローバルなデータ流通を支える基盤に関与している点が特徴だ。生成AIやデータセンター需要拡大が続けば、間接的に海底ケーブル関連価値が高まる可能性がある。ハイリスク・ハイリターン型だが成長テーマは明確だ。
通信子会社が北海道・福岡に国際海底ケーブルの陸揚げ拠点を新設(2025年)。アジア太平洋地域を結ぶ約10,000kmの光海底ケーブル「Asia Direct Cable(ADC)」の運用開始(2024年)。アジアと米国を結ぶ「E2A」の建設にも参画。Googleやメタなどとの共同プロジェクトにも関与。
三菱電機(6503)

三菱電機は通信機器や電力インフラ分野で高い技術力を持ち、海底ケーブル関連では通信・電力両面で関与の余地がある。スマートグリッドや再エネ拡大に伴い、海底送電ケーブル需要が中長期で増加する可能性がある点は注目だ。防衛・宇宙など国家戦略分野とも親和性が高く、経済安全保障の流れの中で評価されやすいインフラ関連株といえる。
海底ケーブルシステムの陸上端局装置(LTU)に強み。既存海底ケーブルの増設工事に注力し、太平洋、大西洋、インド洋で世界初の40Gbps波長増設プロジェクトを実現。100Gbps伝送装置を開発し、高品質・高信頼性で評価される。
沖電気工業(6703)

沖電気は通信機器・ネットワーク分野に強みを持ち、海底ケーブルに接続される通信システムや交換機などで関与する。派手さはないものの、社会インフラを支える堅実な事業構造が特徴だ。データ通信量の増加はネットワーク更新需要を生み、安定した受注につながりやすい。中小型インフラ関連株として、テーマ浮上時の見直し余地がある点に投資妙味がある。
通信機器メーカーとして光伝送装置や通信システムを提供。海底ケーブルシステムに必要な通信機器の開発・製造に参画。長年培った通信技術を活かし、海底ケーブルネットワークの構築に貢献。
ミライト・ワン(1417)

ミライト・ワンは通信インフラ工事を担う企業で、直接的な製造ではないものの、海底ケーブル陸揚げや関連設備工事で需要を取り込む可能性がある。通信量増加に伴う設備投資は継続的に発生しやすく、安定収益が期待できる。派手な成長はないが、インフラ更新需要の積み上げによる堅実な投資対象として評価できる。
海底ケーブルの陸揚げ工事や陸上施設の建設を担当。通信インフラ工事の豊富な実績を活かし、海底ケーブルと陸上ネットワークの接続工事に従事。NTTグループとの強固な関係を背景に、国内海底ケーブルプロジェクトで重要な役割を担う。
IHI(7013)

IHIは海洋構造物や重工分野に強みを持ち、海底ケーブル敷設船や関連装置分野での関与が期待される。洋上風力や海洋開発の拡大により、海底インフラ需要は多方面で増加している。海底ケーブル市場の拡大が進めば、間接的な受注機会が広がる可能性がある。エネルギー・海洋インフラの成長テーマを重ねて狙える点が投資妙味だ。
海洋エンジニアリング技術を保有。海底ケーブル敷設に使用される専用船舶の建造や海洋設備の開発に参画可能。重工業メーカーとして培った技術力で、海底ケーブルインフラの建設を技術面から支援。
海底ケーブル関連銘柄は「役割別」に見ることで投資テーマが明確になる
海底ケーブル関連銘柄と一口に言っても、その関与の仕方は企業ごとに大きく異なる。まず、中核となるシステム構築・統合分野ではNECが代表格であり、敷設から運用まで一貫して担える点は他社にない強みである。こうした企業は、国際通信網の拡張や更新の恩恵を最も直接的に受けやすい。
次に、素材・部材を担うメーカーとして古河電気工業、住友電気工業が挙げられる。光ファイバーやケーブル技術は代替が難しく、通信量増加や老朽化更新といった構造的需要が安定収益につながりやすい分野だ。
通信キャリア・ネットワーク運営ではNTT、KDDIが該当し、海底ケーブルを「使う側」として国際通信の中枢を担う。安定したキャッシュフローを基盤に、次世代通信やAI時代への投資を継続できる点が投資妙味となる。
また、周辺インフラ・間接関連分野として、三菱電機、沖電気工業、ミライト・ワン、IHIが挙げられる。通信機器、設備工事、海洋インフラといった分野は、海底ケーブル投資の拡大に伴い波及的な需要増が期待できる。
このように、海底ケーブル関連銘柄は「直接性」「安定性」「成長性」という異なる投資軸で整理できるテーマである。自らの投資スタンスに応じて企業の役割を見極めることが、長期的な成果につながるだろう。
コメント