【高校・政治経済】新しい人権

政治分野第11講義【高校・政治経済】新しい人権について記述しています。

新しい人権

20世紀に入って、時代の要請から社会権(社会権的基本権)が登場してきたことからもわかるように、社会の変化によって人権保障の内容も多様化した。日本でも、日本国憲法の制定以降、急激な高度経済成長にともなって発生した公害問題や、情報化社会の到来にともなう諸問題が生じたことにより、憲法上に明文規定がない新しい人権が主張されている。
参考【高校・政治経済】社会権

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環境権

日本では、高度経済成長を中心とする時期(1955~73年)に、水や大気, 土壌の汚染が進んで公害が発生し、また自動車・ 鉄道・航空機などの発達が騒音や振動をひき起こし、生活環境 の悪化が進んだ。公害反対の世論と住民運動が高まるなか、経済成長優先の政策をとってきた政府もようやく重い腰を上げ、1967年に公害対策基本法を制定した。
参考【高校・政治経済】環境保全への取り組み

1960年代後半におこされた四大公害裁判では、いずれも原告である住民側が勝訴し、損害賠償請求が認められた。こうしたことから、人間が公害のない良い環境を享受し、人間らしい生活を営む権利としての環境権が、幸福追求権(13条),生存権(25条)を根拠に主張されるようになった。
参考【高校・政治経済】日本の公害問題

国は、1993年にそれまでの公害対策基本法と自然環境保全法を見直し、新たに日本の環境政策の基本的方向を示すものとして環境基本法を成立させた。また、1997年には環境問題に対する住民参加の拡大や生態系への事前の評価を盛り込んだ環境アセスメント(環境影響評価)法を制定して, 環境問題への取り組みを積極的に進めている。

一方、国民が環境権を広く求めるなかで、裁判所の公害裁判の取り組みに消極的な姿勢がみられる。また、国内にとどまらず、地球的規模の問題として考えたとき、環境権の持つ意味は重要なものとなり、新しい人権として、憲法上に確立されることを望む声もある。

プライバシーの権利

現代のようにコンピュータが発達した情報化社会では、個人の私的生活が公権力や報道機関などからみだりに干渉・介入されない権利や、個人の私的情報が個人の意思に反して勝手に利用されない権利として、プライバシーの権利が保障されること が大切である。このような権利が認められなければ、私たちは 平穏に生活できないからである。この新しい人権は、幸福追求 権(13条)を根拠に主張されている。

個人情報については、地方公共団体のプライバシー保護条例に続いて、1988年に行政機関が保有するコンピュータ処理にかかわる個人情報保護法が制定された。1999年の改正住民基本台帳法によって、住民票をコンピュータ管理する住民基本台帳ネットワークがつくられて、2002年に実施され、2003年には民間の情報も含む個人情報保護法が新たに制定された(2005年施行)。

知る権利

国や地方公共団体はさまざまな情報を持ち、また管理してい る。それらの情報のなかには,国や地方公共団体がどのような活動をしているかなど、国民にとって重要な情報も少なくない。そこで、それらの情報を国民に公開させる権利として、知る権利が主張されるようになってきた。この権利を保障するものとして、1980年代から国に先駆けて地方公共団体の多くが情報公開条例を制定している。

情報公開の要求が強まり、1999年には情報公開法が制定され、2001年4月より施行された。しかし、その内容には特殊法人の扱いが検討課題として残されるなど、国民の知る権利を必ずしも十分に保障したものとはいえない。

広い意味での知る権利に含まれるものに、アクセス権がある。これは、新聞や放送などのマス・メディアに対して、一般市民が自己の意見を反映させることができる権利のことで、マス・メディアによる公平な情報が確保できるとされる。

まとめ

環境権や知る権利などの新しい人権が登場した。新しい人権は、社会の変化により登場。

  • 環境権…良好な環境を求める権利。環境基本法を制定し環境アセスメント(環境影響評価)を義務付けた。
  • 知る権利…政治への参加に必要な情報を受け取る権利。情報公開法に基づき情報公開制度を設けた。
  • プライバシーの権利…個人の私生活に関する事柄が公開されない権利。個人情報保護制度が設けられた。
  • 自己決定権…個人の自分の生き方や生活の仕方について自由に決定する権利。インフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)、尊厳死、安楽死、ドナーカード。

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