経済分野第6講【高校・政治経済】企業の社会的責任についてまとめています。一言でいえば、社会的責任とは、企業は自社の利益の追求だけでなく、社会に対しても貢献すべきという考え。
企業の社会的責任
企業は市民社会の一員として、最低限の法令遵守や利益貢献といった責任を果たすだけではなく、市民や地域・社会の要求に応え、社会貢献や社会的配慮、情報公開や対話を自主的におこなうべきであるという考え。
具体的には、
- 地球環境への配慮
- 適切な企業統治と情報開示
- 誠実な消費者対応
- 環境や個人情報保護、ボランティア活動支援などの社会貢献
- 他域社会参加などの地域貢献
- 安全や健康に配慮した職場環境と従業員支援
企業の社会的責任という考え方が普及した背景
- 株式市場や格付 機関が企業評価の尺度として社会的責任(CSR)の視点を取り入れるようになってきたこと
- 社会的責任(CSR)に取り組むことで観客や消費者にプラスのイメージを与え、その企業の商品の売上げの増加が見込まれること
など
企業の社会的責任の要綱については、日本経団連が「企業行動憲章」、経済同友会が「自己評価ツール」などを提示している。
企業の社会的責任の歴史的流れ
資本主義経済のもとで、企業は他の企業と競争して、利潤をあげるために技術革新を進め、生産性を向上させてきました。その結果、消費者のニーズに応えたより良い商品をより安く提供したり、労働者には高い賃金を払うなどの良い待遇を実現し、より多くの配当を投資家に出してきた。さらに、雇用の促進を技術開発によって、地域社会や経済全体の発展を実現してきた。
企業の負の側面
企業は利潤をあげることを重視するあまり、公害問題や薬害・有害食品・欠陥商品などの消費者問題、「過労死」などの労働問題をひきおこし、地域社会や消費者・労働者に被害を 与えることがあった。
資本主義経済は、経済活動の自由を原則としており、問題を起こさないようにするためには、経済活動を営む経済主体の法令の遵守(コンプライアンス)や企業倫理に基づいた活動を期待する側面が大きい。
企業の役割
環境保全などのプラス面だけでなく、商品の安全性や経営上の問題などのマイナス面も含めた情報開示(ディスクロージャー)や企業トップが説明責任(アカウンタビリティ)を果たすことが必要である。
企業が市民社会の一員としての活動を期待されることも多くなってきている。
- スポーツや文化・芸術活動への支援(メセナ)
- 福祉や地域の緑化活動、体育館やプールの施設開放、慈善活動への援助など、社会貢献活動(フィランソロピー)をおこなっている企業も多い
企業の最近のCSR
最近では、
- 工場や事務所のバリアフリー化に取り組み
- 障害者の積極的な雇用を推進
- 視覚障害者向けに点字の商品カタログ
をつくる企業もある。
そのほかに
- 従業員がボランティア活動ができるようボランティア休暇制度の導入
- 福祉や地域活動、国際協力に参加しやすくする制度の導入
企業も出てきている。
このように、市民社会の一員として企業の社会的責任 (CSR)を果たすことが、企業が存立するために必要な時代となっている。
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