脱炭素社会の実現に向けて、次世代エネルギーとして「核融合発電」への期待が高まっています。世界中で研究開発が進むなか、日本企業も独自の技術や材料分野で存在感を示しており、投資家から注目を集めています。
本記事では、核融合発電に関連する日本国内の有望株をピックアップし、それぞれの事業内容や投資妙味をわかりやすく解説します。エネルギー革命の潮流に乗り遅れないためにも、ぜひ参考にしてください。
核融合発電関連銘柄の注目株10選【日本企業の最前線】
次世代エネルギーとして「夢の発電」と呼ばれる核融合発電は、太陽の仕組みを人工的に再現し、二酸化炭素を排出せずに膨大なエネルギーを生み出す技術です。世界各国で研究開発が進められるなか、日本企業もその中核を担う存在として注目を集めています。特に、核融合炉の建設や運用に不可欠な重工業・電機・素材メーカーは、国際共同プロジェクトで実績を積み上げており、投資家にとっても有望なテーマ株といえるでしょう。
核融合発電に関連する日本株の中から厳選した注目企業10社を取り上げ、それぞれの事業内容と投資妙味をわかりやすく解説します。脱炭素社会の実現やエネルギー安全保障といった世界的課題と密接に結びつくテーマ株として、長期的な成長を見込める点に注目してください。
三菱重工業（7011）
日本を代表する総合重工メーカーで、核融合炉の真空容器や超伝導コイルなどの製造に参画。ITER計画にも深く関わり、基幹技術を担います。エネルギー転換期において長期的な需要が見込まれ、国際共同開発の枠組みでも存在感を発揮。次世代エネルギー投資のテーマとして注目度が高い銘柄です。
ITER計画で重要部品「ダイバーター」の外側垂直ターゲットを製造。高温・高圧環境下での精密機器製造技術、大型構造物の設計・製作技術、原子力プラント技術を核融合炉開発に応用。プラズマ対向材料の開発にも注力。
日立製作所（6501）
原子力や電力システムに実績を持ち、核融合炉の制御系や材料技術開発に関与。社会インフラ全般を手掛ける総合力を武器に、次世代エネルギーの実用化で恩恵を受ける可能性が高いです。研究開発力と持続的な事業ポートフォリオにより、中長期投資に向く銘柄です。
1950年代から半世紀以上核融合研究用実験装置を開発。超伝導コイル、真空容器、中性粒子ビーム入射装置(NBI)など核融合炉の重要機器製造。超高電圧技術、超高真空技術、極低温・超伝導技術を保有。
川崎重工業（7012）
ITER計画などで大型構造物や精密機器を提供。航空宇宙やエネルギー分野の技術を融合し、核融合関連で存在感を発揮しています。インフラ需要と次世代エネルギーの二本柱で成長可能性を秘め、中長期で評価されやすい企業です。
ガスタービン技術を活用した高温プラズマ制御技術。大型構造物の精密加工技術、高強度材料の溶接・組立技術、エネルギープラント建設のシステムエンジニアリング能力を核融合炉建設に応用可能。
IHI（7013）
エネルギープラントやタービン製造を強みとし、核融合炉の主要構造物や冷却システムに携わります。大規模プロジェクト実績が豊富で、国際核融合開発における信頼が厚い点も特徴。脱炭素社会への流れで注目が高まり、成長性と安定性を兼ね備える銘柄です。
核融合市場研究会に参加し産業化を推進。ボイラー・タービン技術、高温材料技術、原子力機器製造技術、大型プラント建設経験を核融合発電プラント開発に活用。冷却システムや蒸気発生器技術も保有。
日本製鉄（5401）
核融合炉に必要な高強度・耐熱鋼材を供給。特殊鋼は過酷な環境下での安定稼働に不可欠で、将来的な需要拡大が見込まれます。世界的な脱炭素と次世代インフラ開発の中核を担う素材メーカーとして、持続的な成長が期待されます。
核融合炉構造材料用の高性能特殊鋼開発。超高温・放射線環境に耐える耐熱合金、低放射化フェライト鋼、高強度ステンレス鋼の製造技術。大型鍛造品製造能力により炉本体構造部材の供給が可能。
JFEホールディングス（5411）
耐熱鋼材や溶接技術で核融合設備に関与。インフラや環境プラント事業も展開し、幅広いエネルギー分野を支えています。鉄鋼市況に左右されやすいものの、核融合という新規需要を取り込むことで新たな成長領域が開ける点が投資妙味です。
核融合炉用高機能特殊鋼材の開発・製造。高強度・高耐食性鋼材、超高温対応合金の製造技術。JFEエンジニアリングによる大型プラント建設技術、廃棄物処理技術も核融合施設建設に貢献。
古河電気工業（5801）
超伝導ケーブルや特殊電線を開発し、核融合炉の磁場生成用部材を提供。電力制御に不可欠な技術を持ち、国内外で研究開発需要が高まっています。通信や電力分野でも安定基盤を持ち、核融合と相乗的に成長が期待できる企業です。
超伝導コイル用導体・ケーブル技術。高温超伝導材料の開発、超伝導コイル製造技術、極低温配線技術を保有。核融合炉の磁場閉じ込めシステムに必要な超伝導磁石用材料の供給が可能。
住友電気工業（5802）
超伝導材料や高機能電線で世界的に強く、核融合炉の磁石技術に関連。社会インフラ分野でも広く事業を展開しているため安定的な収益基盤を保持しながら、核融合の進展で新収益を得る可能性があります。素材と技術の両立で注目されます。
世界最高レベルの超伝導線材製造技術。ニオブスズ系超伝導線材、高温超伝導線材の量産技術を保有。核融合炉の超伝導磁石用導体として重要な役割。大電流送電用超伝導ケーブル技術も開発。
島津製作所（7701）
分析・計測機器を手掛け、核融合研究におけるプラズマ計測や材料分析に貢献。研究段階から実用化まで幅広く関与できるポジションを持ち、開発進展とともに需要拡大が期待されます。医療・ライフサイエンス分野でも収益基盤が厚く、長期的に成長が見込まれる企業です。
プラズマ診断・計測機器の開発・製造。高温プラズマの温度・密度測定装置、分光分析装置、真空計測機器などを提供。核融合実験において重要なプラズマ状態の監視・制御システムに貢献。
三井E&S（7003）
三井E&Sは、造船業を中心に、海洋構造物、プラント設備、エネルギー関連機器など多岐にわたる事業を展開しています。核融合発電においては、炉心容器や冷却システムなどの重要な構造物の設計・製造を担当しています。特に、海洋プラントや大型構造物の建造経験が豊富であり、核融合炉の建設においてもその技術力が活かされています。今後、核融合発電の商業化に向けた動きが加速する中で、同社の技術と実績は大きな強みとなり、長期的な成長が期待される企業です。
大型構造物製造・プラント建設技術。船舶建造で培った大型溶接技術、精密組立技術、品質管理技術を核融合炉建設に応用。海上浮体技術は将来の海上核融合発電プラントにも活用可能。
核融合発電関連銘柄まとめ：業界別の注目企業と投資ポイント
核融合発電関連銘柄は、重工系・電機系・素材・電線・計測系の3つの業界に分けて整理できます。それぞれの分野で、核融合技術の社会実装に欠かせない役割を担っています。
重工系には、三菱重工業（7011）、川崎重工業（7012）、IHI（7013）、三井E&S（7003）が含まれます。これらの企業は核融合炉の主要構造物や精密機械、冷却・制御システムを提供しており、国際プロジェクトへの参画や技術力の高さが強みです。脱炭素社会に向けたエネルギーインフラ整備の中で、長期的に成長が見込まれる注目銘柄です。
電機系は、日立製作所（6501）、島津製作所（7701）が該当します。発電・制御・計測技術に強みを持ち、核融合炉の運用や研究開発に不可欠な技術を供給しています。社会インフラ事業とのシナジーも大きく、技術革新と安定収益の両立が期待できます。
素材・電線・計測系には、日本製鉄（5401）、JFEホールディングス（5411）、古河電気工業（5801）、住友電気工業（5802）が含まれます。高耐久鋼材や超伝導電線、特殊素材を提供し、核融合炉の安全・効率運用を支えます。素材・部材の供給は市場立ち上がり期から恩恵を受けやすく、安定性と成長性を兼ね備える銘柄群です。
これら10社は、核融合発電という次世代エネルギー市場に直結する技術や製品を持つことから、中長期的に注目すべき投資対象といえます。重工・電機・素材の各分野が互いに補完し合う構造は、投資リスクの分散にもつながり、脱炭素社会の実現とともに成長余地を享受できる点が魅力です。
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