日本の労働問題のポイント

日本の労働問題についてまとめています。低賃金長時間労働、労働災害などがあげられます。それに至る背景などを観ていきます。

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労働問題の発生

資本主義経済が成立したころには、資本家はより安く商品を売って、より多くの利潤を上げようとしていた。
確認【高校政治経済】資本主義経済のしくみと発達

そのために、

  • 低賃金長時間労働
  • 労働災害
  • 児童労働

などの労働問題が発生していた。これに対して産業革命を最初に達成したイギリスでは、19世紀初めに、工場労働者が各地で自然発生的に機械打ち壊し運動 (ラダイト運動)をしたり、暴動をおこしたりした。やがて、労働者が組織をつくり団結して資本家と対峙するようになると、 労働組合法などが制定され、団結権も法的に認められるようになった。

労働組合の組織

労働組合の組織は拡大し、全国的な組織がつくられるようになった。労働組合の結成が進み、社会主義運動と関係が深まると、インターナショナルという国際的な連帯組織が結成された。

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日本の労働運動

日本でも産業革命とともに、低賃金・長時間労働などの労働問題がおこり、

  • 1897年…労働組合期成会が結成
  • 大正期…友愛会などの労働者組織が結成(労働争議が各地でおこり、ストライキなどが実行)

こうした動きは治安警察法(1900年)や治安維持法(1925年)によって弾圧された。

労働組合法

第二次世界大戦後の民主化によって、労働組合法が制定され、労働組合運動が自由化されると、各企業ごとに労働組合が結成された。これらの労働組合は全国組織として総評・同盟などのナショナルセンター(全国組織)をつくり、年度はじめにいっせいに 賃上げを要求する「春闘」など、労働条件改善の運動を組織的におこなった。労働組合のナショナルセンターは、1989年に日本労働組合総連合会(連合)に再編されたが、これに参加しなかった。

労働組合

労働組合は、

  • 全国労働組合総連合(全労連)
  • 全国労働組合連絡協議会(全労協)

を組織している。

<昨今の状況>
最近、労働組合の組織率は年々低下しており、労働者の5人に1人の割合で組織されている程度である。それは若年層の組合離れ、組織化がむずかしいサービス産業に従事する労働者や非正規社員のパートタイマー、派遣社員などの増加が原因といわれている。

労働基本権

私たちが生活する家計は、働いて得た所得をもとにして営まれているので、働く場を国が保障することは、人びとの生活を 安定させるために重要なことである。

<対策>
憲法では「すべて国民は、 勤労の権利を有し、義務を負ふ」と勤労権を保障しており、政府は公共職業安定所(ハローワーク)で職業紹介をしたり、職業訓練所で技能訓練をするなど、勤労の機会を確保できるようにしている。

労働三法

賃金、就業時間休息その他の勤労条件に関しては労働基準法が定められ、労働条件を「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもの」としている。さらに全国に労働基準監督署をおいて、労働基準法が各事業所で守られているかを監視して、違反を取り締まっている。

また、労働者一人ひとりでは立場が弱いため、労働者が使用者と対等に交渉できるよう、労働組合を組織する権利団体交渉をする権利団体行動をする権利を憲法で保障している。

労働三権とよばれ、

  • 労働基準法
  • 労働組合法
  • 労働関係調整法

で細かに規定されている。

女性の社会進出

今日、女性の高学歴化とともに、女性に対する社会の意識がかわり、産業構造の変化によるサービス部門が増加したことを背景に、女性の職場進出にはめざましいものがある。

  • 1990年…働く女性の割合は女性全体の50%を超え、全雇用者に占める女性の割合も3分の1を超えた。
  • 1991年…子どもが満1歳になるまで労働者に育児休業を認める育児休業法が制定され、
  • 1995年…育児・介護休業法として、家族の介護のための休業が法制化されるなど、女性 の職場進出を援助する制度が整備されてきた。
  • 1997年…男女雇用機会均等法が改正され、雇用の分野における募集・採用・配置・昇進など についても男女差別が禁止された。
  • 2005年…子どもが満1歳6カ月になるまで育児休業が認められるように育児・介護休業法が改正された

さらに労働基準法も改正され、事業主にはセクシュアル・ハラスメントの防止義務が課せられた。
一方で、時間外勤務や深夜労働・休日労働における 女性保護規定が撤廃された。 女性の就業には零細なサービス業のパートタイマーが多かったり、男性との賃金格差や管理職につく割合が低いなどの課題も残されている。

労働者の高齢化

高齢化の進行にともない、年金が支払われるまでの高齢者が働く場の確保。「2007年問題」といわれる団塊の世代の大量退職による労働力不足や技術の伝承などが課題となっている。 政府は、1998年から定年を60歳以上にすることを義務づけるとともに、再任用制度の導入を推進したり、「65歳まで現役である社会」をめざして定年の65歳延長を推進している。

若者の労働市場

若年層を中心にフリーターやニートが増加したり、職場への定着率が低いことも問題となっている。

  • フリーター…学生と主婦以外15~34歳の正規従業員以外の雇用者と、働く意思を持っているが職についてない者
  • ニート…教育機関に所属せず、働く意思を持たず、職業訓練も受けない若年層
  • パートタイマー…常勤ではなく、時間単位で働く労働者のこと

1993年に短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律が制定され、雇用管理の改善がはかられた。
1985年に労働者派遣法が成立して、派遣労働は労働基準法6条により禁止されていたが、派遣元・派遣先・労働者にも利点があるとして通訳、アナウンサーなど専門職について派遣労働が認められた。
1999年には労働者派遣法が改正され、ほとんどすべての業種について派遣労働が許されるようになった

「派遣切り」が社会問題化し、見直しがはかられている。その他、日本は出入国及び難民認定法により、単純労働への外国人の就労を禁止している。働く場を求めて不法入国や不法就労する外国人労働者も多い。劣悪な労働条件 や賃金の中間搾取、パスポートをとりあげての強制労働、労災補償を実質的に受けられないなどの問題が生じている。

新たな労働問題

  • 時間外手当も支払われないサービス残業
  • 長時間労働による肉体的・精神的疲労からの過労死

などの問題が残されている。

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