次世代の通信・情報処理を革新する「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」構想は、NTTが中心となり推進する国家規模のプロジェクトです。従来の電子ベース通信を光ベースへと移行させることで、超低遅延・大容量・省電力といった特徴を実現し、5G・6G、AI、データセンター、スマートシティなど幅広い分野への応用が期待されています。こうした背景から、IOWN関連銘柄は今後の成長テーマとして投資家から注目を集めています。
本記事では、注目すべきIOWN関連株を厳選し、企業の強みや将来性を分かりやすく解説します。
IOWNとは?次世代光通信と情報処理技術が切り拓く未来

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)とは、NTTが中心となって推進する次世代通信・情報処理の構想であり、従来の電子回路を中心とした通信・処理システムを光技術へ移行させることで、超低遅延・大容量・省電力を実現することを目指しています。これにより、AI、クラウド、データセンター、5G/6G通信、スマートシティ、遠隔医療などの分野で画期的な進化が期待されています。
特に、従来の電子ベースでは限界があった処理速度やエネルギー効率の向上が可能となるため、社会インフラや産業全体に与える影響は極めて大きいといえます。IOWNの実現により、都市のデジタル化や自動運転、リアルタイムデータ解析などが加速し、企業の競争力向上や新しいビジネスモデルの創出にもつながります。
こうした背景から、IOWN関連銘柄は次世代通信技術の成長テーマとして、投資家の注目を集めています。本記事では、IOWN構想に深く関わる日本の代表的な企業10社を取り上げ、それぞれの特徴や投資妙味を詳しく解説していきます。
NTT(9432)

IOWN構想の中心を担う企業であり、光電融合技術や光ネットワークの実用化に向けて研究開発を主導している。NTT研究所を軸に国内外の大手メーカーや大学とも連携し、通信インフラの革新を進めている点が強み。5Gから6Gへの移行期における主導的役割は揺るぎなく、社会インフラ全体に与える影響力は計り知れない。長期的には安定的な通信収益基盤を持ちながらも、新規事業としてのIOWN関連技術が成長ドライバーとなる可能性が高い。投資妙味は非常に大きい。
IOWN構想の提唱者として光電融合技術を主導。光信号と電気信号を融合したデバイス開発により、従来比100倍の省電力化を目指す。2023年にオールフォトニクス・ネットワーク「IOWN 1.0」の商用サービスを開始。
住友電気工業(5802)

光ファイバーで世界トップクラスのシェアを持ち、IOWN構想の実現に欠かせない通信インフラを支える企業である。高性能な光ファイバーケーブルや光部品を提供し、データセンターや海底ケーブルといった大容量通信を可能にする基盤を構築している点が強み。電線や自動車部品など幅広い事業を展開しており、安定収益を確保しながら次世代通信分野で成長を狙える。5G・6G時代の到来に伴い光通信需要は急増する見通しであり、IOWN関連株の中でも注目度は高い。
光ファイバー技術で世界をリード。マルチコア光ファイバーやIOWNの基盤となる光通信デバイスを開発。IOWNグローバルフォーラムに早期参画し、次世代光通信インフラの実現に貢献。
富士通(6702)

ICTの世界的リーダーとして、スーパーコンピュータやネットワーク機器に強みを持つ。IOWN構想では光ネットワークの実用化や次世代データセンターの開発に深く関与しており、研究開発力の高さは業界でも群を抜く。政府や大学との共同研究も多く、社会課題解決型の事業展開に積極的である。AIや量子技術との組み合わせにより、IOWNによる超高速処理をフルに活かせる可能性が高い。株価も長期的には上昇余地があると見られる。
NTT、KDDI、NEC、楽天モバイルと共同でBeyond 5G(6G)基金事業に参画。APNを複数プロバイダで協調運用する技術開発を推進。光通信システムとクラウド技術の融合でIOWN実現に貢献。
NEC(6701)

通信インフラや公共システムに強みを持ち、光通信や無線技術で豊富な実績を持つ。IOWNの実現に不可欠な光伝送装置やネットワーク管理技術を提供する立場にあり、海外展開にも積極的だ。5G・6G基地局や海底ケーブル事業などでも存在感を発揮しており、IOWN関連の恩恵を直接的に受けやすい銘柄といえる。国内外の通信事業者からの受注拡大が期待され、安定した収益基盤と成長性を兼ね備えた投資先として注目される。
Beyond 5G(6G)基金事業における共同提案に参加。ネットワーク制御技術とAI技術を組み合わせ、IOWN環境下での高品質・低遅延通信の実現に向けた技術開発を推進。
ソニーグループ(6758)

映像・半導体・エンターテインメントと幅広い事業領域を持ち、特にCMOSイメージセンサーは世界トップシェアを誇る。IOWNによる低遅延通信環境が普及すれば、クラウドゲームやメタバース、遠隔操作型ロボットといった新領域の成長を後押しする。半導体事業においてもIOWNの光伝送技術と親和性が高く、需要拡大が期待される。既存の安定した収益基盤を維持しつつ、IOWN関連でさらなる成長ポテンシャルを秘める銘柄である。
IOWNグローバルフォーラムの創設メンバーとしてNTT、インテルと共に2019年に設立。イメージセンサー技術と光技術の融合により、エンターテインメント分野でのIOWN活用を推進。
KDD1(9433)

国内大手通信キャリアとして、5G・6GやIoTサービスの拡大に積極的に取り組んでいる。IOWN構想の進展に伴い、超低遅延ネットワークを活かした新サービスの展開余地が広い。特に自動運転やスマートシティ、防災通信といった社会インフラ分野での活用が期待される。強固な顧客基盤と安定収益を背景に、新規投資にも柔軟に対応できる点は魅力。通信業界の成長を担うプレーヤーとして長期保有に値する存在である。
2023年にIOWNグローバルフォーラムに参加し、NTTとの競合を超えた協力体制を構築。オール光ネットワークを自社コア網に導入済み。Beyond 5G基金事業で共同技術開発を推進。
ソフトバンクグループ(9984)

投資会社としての側面と国内通信事業を持つソフトバンクを傘下に持ち、先端技術への積極投資が特徴。IOWNに関連するAIやクラウド、IoT分野のスタートアップへの投資を通じて間接的に恩恵を受けやすい。通信基盤を持つ点も強みであり、グループ全体で次世代ネットワークを活用した新事業の創出が可能。リスクは大きいが、ハイテク分野の波に乗れれば高いリターンが期待できる成長性重視の投資妙味を持つ銘柄である。
オール光ネットワークを自社コア網に導入し、IOWN技術の実用化を推進。低軌道衛星やHAPS等の非地上系ネットワーク(NTN)技術と光通信の融合により、次世代通信基盤の構築に取り組む。
三菱電機(6503)

社会インフラや通信機器分野に強く、IOWN関連では光通信デバイスや情報処理システムを通じて関与している。特に防衛・宇宙分野における高信頼性通信技術に強みを持ち、今後の国家プロジェクトに組み込まれる可能性が高い。工場自動化やエネルギー管理システムとの親和性も高く、IOWNの普及が進めば幅広い分野で収益機会が拡大する。保守的な経営姿勢ながらも安定性が高く、長期的な投資妙味を備えた銘柄である。
光通信機器と高周波デバイス技術により、IOWN構想の実現に貢献。衛星通信技術と光通信の融合により、宇宙から地上までのシームレスな通信ネットワーク構築に向けた技術開発を推進。
日立製作所(6501)

社会インフラからITソリューションまで幅広い事業を持つ総合電機メーカー。IOWN関連ではデータセンターやクラウド基盤の構築に強みを持ち、次世代通信環境を支える技術を提供する立場にある。Lumada事業を中心としたデジタル分野の拡大が進んでおり、IOWNによる超高速・低遅延通信が加われば事業の競争力はさらに高まる。安定収益と成長分野の両方を備えるため、中長期投資に向いた銘柄といえる。
ITインフラ技術とシステム統合力により、IOWN環境下でのデジタルツインコンピューティング(DTC)の実現に貢献。光技術とAI、IoTを組み合わせた次世代社会インフラシステムの構築を推進。
村田製作所(6981)

電子部品大手として世界中に供給しており、特に通信機器向けのコンデンサやモジュールで高いシェアを持つ。IOWN関連では低遅延・高周波通信を支える部品メーカーとして恩恵を受けやすい。5G・6Gやデータセンター需要の拡大とともに、部品供給の拡大が期待される。安定した財務基盤と世界的な顧客網を有し、成長テーマに直接関与できる点で投資妙味が大きい。
高周波部品と光電変換技術で培った微細加工技術により、IOWN構想に必要な光電融合デバイス向け電子部品を提供。小型化・高性能化された部品でオールフォトニクス・ネットワークの実現を支援。
IOWN関連銘柄まとめ|業界別の注目企業と投資ポイント
IOWN関連株は、光通信・情報処理技術という成長分野で注目される企業群です。ここでは業界ごとに整理しておさらいします。
通信キャリア・インフラ関連
NTT(9432)やKDDI(9433)、ソフトバンクグループ(9984)は、国内通信インフラを支える大手キャリアであり、IOWN構想における超低遅延・大容量ネットワークの実用化に深く関与しています。安定した収益基盤を持ちながら、次世代通信サービスの成長恩恵を直接受ける点が投資妙味です。
光ファイバー・電子部品関連
住友電気工業(5802)や村田製作所(6981)は、光通信インフラや通信機器向け電子部品を提供する企業で、IOWNの基盤技術に不可欠です。高シェア製品を世界市場に供給しており、5G・6Gやデータセンター需要の拡大に伴う成長が期待されます。
総合電機・ICT関連
富士通(6702)、NEC(6701)、三菱電機(6503)、日立製作所(6501)は、通信機器、ITソリューション、データセンター構築に強みを持つ総合電機メーカーです。IOWN関連の研究開発や次世代ネットワーク構築に関与しており、社会インフラや産業向け需要の増加が中長期的な成長につながります。
半導体・先端技術関連
ソニーグループ(6758)は、CMOSイメージセンサーや半導体技術で世界的な競争力を持ち、IOWNによる低遅延・大容量通信の普及で新領域サービスの成長余地があります。クラウドゲームやメタバース、AI関連サービスとのシナジーが投資妙味として評価されます。
これら10社は、業界をまたぎながらIOWNの実現に関わる企業として、安定性と成長性の両方を兼ね備えています。次世代通信・情報処理技術という明確な成長テーマを持つため、長期投資の観点でも注目される銘柄群です。
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