デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業の成長戦略や業務効率化に欠かせないテーマとして注目を集めています。AI、クラウド、IoT、ビッグデータなどの技術を活用し、ビジネスモデルの変革を進める企業は株式市場でも高い評価を受けています。本記事では、2025年に注目すべき日本国内のDX関連銘柄を10社厳選し、それぞれの特徴や成長ポテンシャルを解説します。投資の参考としてぜひご覧ください。
DX関連銘柄とは?注目される背景と投資の魅力

DX(デジタルトランスフォーメーション)関連銘柄とは、AI、IoT、クラウド、ビッグデータなどの最新技術を活用して企業や社会のデジタル化を推進する企業群を指します。日本国内では、政府によるデジタル庁の設立や、企業の業務効率化・新規事業開発を背景に、DX投資が加速しています。
特に近年は、製造業のスマートファクトリー化、金融・行政サービスのオンライン化、通信インフラの高度化など幅広い領域でDXが進展。これに伴い、DX関連銘柄は中長期的な成長余地が大きいと評価されています。
投資の魅力としては、①社会全体のデジタル化需要に支えられる安定した成長、②海外市場を含めた拡大余地、③ESGやサステナビリティと親和性が高い点が挙げられます。短期的な景気変動の影響を受けることはあるものの、長期的に見れば「社会変革に直結する成長テーマ株」として注目すべき分野です。
富士通(6702)

ICT分野で幅広い事業を展開し、近年はソフトウェアやサービス事業へのシフトを加速。特にAI、クラウド、サイバーセキュリティを組み合わせたソリューションで企業のDXを支援している。サブスクリプション型サービスの拡大により、安定的な収益基盤を強化。グローバル展開も進んでおり、欧州や北米市場での成長が期待される。ハード依存からの脱却を進め、収益性改善が見込まれる点も注目。変革期にある企業だが、投資妙味は十分といえる。
Fujitsu Uvance戦略により、AIやクラウド技術を活用した包括的なDXソリューションを提供。量子コンピューティングや5G技術での先進的な取り組みが特徴。
NEC(6701)

顔認証やセキュリティ技術で世界的に評価が高く、公共分野や社会インフラのデジタル化に強みを持つ。官公庁や自治体のDX案件に積極的に関わり、スマートシティ構想などでも中心的な役割を果たす。クラウドやAI活用の強化に加え、5G関連事業も期待材料。社会課題解決型ビジネスに注力しており、中長期的な需要は底堅い。今後の社会インフラ投資拡大とともに、業績の安定成長が見込まれるため、長期投資の観点で妙味のある銘柄といえる。
生体認証技術や顔認識システムでのAI技術が世界トップクラス。5G、ローカル5G、エッジコンピューティングによる次世代通信インフラの構築に強み。
日立製作所(6501)

「Lumada」を中心にデジタルソリューションを展開し、製造業や社会インフラのDXを推進。鉄道、エネルギー、産業機器と幅広い事業にデータ分析やIoTを融合させ、安定した収益基盤を築いている。M&Aを通じて海外展開も強化しており、グローバル成長が期待できる点も大きな魅力。近年は非中核事業の整理を進め、収益性の改善が進展。社会インフラとデジタルの両輪で持続的成長を狙えるため、中長期投資で注目される銘柄といえる。
Lumadaプラットフォームによるデータ活用とIoTソリューション。社会インフラのスマート化と産業用AIの実装で業界をリード。
ソニーグループ(6758)

エンタメやゲーム事業の印象が強いが、クラウド活用や映像・音響技術のデジタル化を進め、AIや半導体でも存在感を高める。特にイメージセンサーはDXの根幹を支える技術で、自動運転やスマートデバイスに不可欠。エンタメとテクノロジーを融合した新規事業展開も進んでおり、収益源の多様化が強み。ゲームや映画事業の堅調に加え、半導体分野の成長も期待できる。デジタル時代の総合テック企業として、長期成長の可能性が高い銘柄である。
クリエイティブエンターテインメントとセンサー技術の融合。AIを活用したコンテンツ制作支援や、イメージセンサーによるデータ収集・解析技術が強み。
ソフトバンクグループ(9984)

投資会社として世界のテック企業に資本を投じ、DXの波に乗るベンチャー企業を支援。特にAI、IoT、ロボティクス関連への投資で注目を集める。国内ではソフトバンク(9434)を通じ通信インフラを提供し、5Gやクラウドを基盤としたサービスを展開。株価は投資先企業の動向に左右されやすいが、DX分野でのリターン拡大余地は大きい。ハイリスク・ハイリターン型の銘柄として、成長志向の投資家に妙味があるといえる。
AI・5G技術の社会実装。Vision Fund通じたテック企業への投資と、通信インフラを活用したDXプラットフォームの構築が特徴。
KDDI(9433)

通信事業に加え、「au PAY」や「auでんき」など生活インフラに直結するDXサービスを展開。法人向けにはIoTやクラウドを活用したソリューションを強化し、安定した通信収益を背景に成長を続けている。5G基盤を生かした産業DXや地方創生関連案件にも注力。通信事業の安定性と新規サービスの成長性を兼ね備え、長期投資に適したバランス型銘柄。安定配当も魅力で、堅実なポートフォリオ構築に貢献できる。
5G SAネットワークと通信インフラを活用したDX支援プラットフォーム。各業界の特性に合わせたカスタマイズDXソリューションの提供が強み。
村田製作所(6981)

電子部品大手として、5GやIoT機器の普及に欠かせないコンデンサや通信モジュールを供給。自動車の電動化・自動運転の進展でも需要拡大が見込まれる。DXのハード基盤を支える存在であり、グローバルに幅広い顧客基盤を持つ点も強み。景気変動の影響を受けやすいものの、中長期的にはDX需要の追い風が継続。半導体や電子部品市場での競争力を背景に、安定成長を狙える有望株といえる。
IoTセンサー技術とスマートファクトリー化。製造データの収集・分析による品質向上と、電子部品のIoT化によるデジタル社会の基盤構築。
デンソー(6902)

トヨタグループの中核部品メーカーで、自動車の電動化・自動運転技術をリード。車載半導体やセンサー分野に強みを持ち、モビリティのDXを支える。環境規制やEVシフトを背景に成長余地は大きく、ソフトウェア開発にも積極投資。世界的な自動車産業の構造変革に乗れるポジションにあり、長期的な視点で投資妙味がある。自動車関連の景気変動リスクはあるが、技術力とシェアを武器に成長を続ける見込み。
コネクテッドカー技術と自動運転システム。車載AI、センサー融合技術による次世代モビリティの実現と、製造工程のデジタル化が強み。
ダイキン工業(6367)

空調機器で世界トップシェアを誇り、IoTやAIを活用したスマート空調システムを展開。環境配慮型の次世代冷媒や省エネ技術でも世界をリードしており、ESG・サステナビリティの観点からも注目される。空調の需要は世界的に底堅く、特に新興国市場での成長が見込まれる。DXによる遠隔制御やエネルギーマネジメントの分野で新たな成長機会を得ており、グローバル企業として長期的に投資妙味が大きい。
スマート空調システムとIoT連携。AI予測制御による省エネ最適化と、クラウド連携による遠隔監視・メンテナンスサービスが特徴。
リクルートホールディングス(6098)

求人情報サービス「Indeed」や「リクナビ」を展開し、人材領域のDXを牽引。クラウドを活用したマッチングプラットフォームは世界規模で成長しており、データ解析による高度な求人・求職マッチングが強み。国内外で人材紹介や派遣事業を拡大し、景気回復局面では追い風を受けやすい。広告・人材・SaaS型サービスを組み合わせ、収益源の多様化を進めている。世界的な働き方改革や人材流動化の流れを背景に、長期成長の期待が高い銘柄である。
データドリブンマッチングとAI活用。機械学習による最適なマッチングアルゴリズムと、膨大なユーザーデータを活用したパーソナライゼーション技術が強み。
まとめ|DX関連銘柄は長期成長のテーマ株
本記事では、2025年に注目すべき日本国内のDX関連銘柄10社を紹介しました。各企業は業界ごとに異なる強みを持ちながら、日本のデジタル変革を支えています。
- ICT・通信インフラ:富士通、NEC、日立製作所、KDDIは、クラウドやAI、5Gを活用した社会インフラ・企業システムのDXを推進。安定した収益基盤と公共分野の需要拡大が魅力です。
- 製造業・ハード技術:ソニーグループ、村田製作所、デンソー、ダイキン工業は、半導体、電子部品、自動車、空調といった分野でDXを支えるハード基盤を提供。世界市場での競争力を背景に長期成長が期待されます。
- 投資・プラットフォーム:ソフトバンクグループはAIやIoTを中心とした投資先の成長に連動し、リクルートホールディングスは人材領域のDXを加速。新しい価値創造の面で注目度が高いです。
DXは一過性のテーマではなく、今後10年以上にわたり社会全体で進展し続ける分野です。成長性の高さと社会的意義の大きさから、DX関連銘柄は長期投資の観点で有望なテーマ株といえるでしょう。
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